”激しい運動”を、高齢で行ってはいけない理由
ある友人(男性60代)の健康に関するコメントから、未病について考えてみます。
個別のことですので、統計的で科学的な根拠でないことをご了解下さい。
健康のひとつの”考え方”として、参考になればと考えます。
主題は、「マラソンで元気になった」です。
ハーフマラソン(20キロぐらい)は走っているようです。
その効果についての友人のコメントは下記の通り。
ひとつづつ私の解釈を述べます。
・「30年間続けてた水泳では効果なく3年前から始めたランニング」
水泳は室内で、ランニングは屋外です。
この違いは大きい。
陽の光を浴びるのは、ビタミンCを作り、免疫力を高めることは証明されています。
自然の緑、風、生き物の声、川のせせらぎなどは、確実に5感を刺激するので、身体に良い作用があります。
・「高血圧が治った」
これは注意が必要です。
歳をとると、血圧が高くなくてはいけないからです。
ざっくりと、年齢+90ぐらいでしょう。
血管は、詰まったり、硬くなったり、細くなったりして老化するからです。
だからこそ、血圧が上がり、身体を守ろうとする作用が働きます。
・「老眼が治った」
老眼は、基本的に眼球を制御する”眼輪筋”が、ある程度回復すると治ると思われます。
マラソンが、直接、老眼を治すという研究データはないので効果は不明です。
水泳は、水道水のカルキ(塩素を含んだ成分)、などによる目の刺激もあることが考えられます。
・「運転感覚が若い頃に戻った」
運転は、運動神経の問題もありますが、高齢でのマラソンで運動神経が向上することはありません。
目の改善や筋肉の強化が、そう感じているのかも分かりません。
・「頭の回転が良くなった」
脳の回転は、食生活の影響が最大の原因です。
マラソンには、ハーフ以上走ると、ランナーズハイがあります。
長く走り続けることによって、エンドルフィンが脳で分泌されるからです。
麻薬によく似た鎮痛作用のあるホルモンで、その作用によってランナーが快適な気分になれる。
この作用で、頭の回転が良くなったと錯覚することはあります。
もちろん、年取ってからは、適度の運動が、認知症や鬱の対策として効果的であることは証明されています。
”適度”ですから、年齢の割に激しい運動(マラソン)は、過激すぎます。
⑤「便通が凄く改善した」
便通も食生活が影響します。
”走る”ことにより、左右に腸が揺れ、重力を使って腸から肛門へと便を移動させる効果があります。
しかし、これも高齢ならば、緩やかな”走り”による効果です。
フルマラソンなどでは、一般人は、下痢や膨満感、過敏性腸症候群などの症状が起こる事があります。
以上
さて、こうしてひとつづつ考えてみると、結論として、マラソンとの因果関係は(情報不足から)概ね不明です。
事実として、30年間続けた水泳よりも、マラソンで(わずか3年で)体感があったのですから、生活習慣としての水泳が向いてなかったと考えるのが良いのかも分かりません。
激しい運動を、一般的に、50代以降禁止すべき理由は、ミトコンドリアとの深い関係があります。
人間の60兆の細胞に、数百から2,000個存在するミトコンドリア(ATP)は、人間のエネルギーの80%を作ります。
このミトコンドリア(数)が、歳を重ねるごとに減少します。
20歳がピークで減り続けます。
ミトコンドリアの減少が、”老化”と”疾患”の原因であることは科学的事実です。
ミトコンドリアが供給するエネルギーは、免疫力にも影響します。
高齢での過激な運動の最大の問題は、ミトコンドリアが減っているのに、若い頃のような運動を行うと、必ず身体に不具合が起こります。
車の例で、極端に解説すると。
フェラーリ(若い頃は排気量6L)を軽自動車のエンジン(高齢では660CC)で動かすイメージです。
誰でも無理だと思うはずです。
人間の体は、年とっても身長などの外観については変化が緩やかです。
しかし、目に見えないミトコンドリアは確実に減っている。(食生活が悪いと、顕著に減り”病”に倒れます)
そういった状態で、歳とって、激しい運動すると、最も大切な免疫力や体脂肪の代謝(特に重要なのは内臓脂肪)のためのエネルギーも、筋肉や心肺機能を維持することに集中してしまいます。
歳とって激しい運動する、周りの高齢者に共通することは、「顔がとても老けている」ことです。
異常に顔がげっそりと削ぎ落とされ、当然、シワも、同年代と比較して非常に多い。
顔の筋肉は、運動では鍛えられないからです。
むしろ、ふっくらしている方が健康で長寿な理由にもなります。
顔ぐらいいいじゃないかとはなりません。
何故なら、生成するエネルギーのほとんどを、首から下の外観の筋肉強化に使ってしまえば、健康維持に最も大切な自然免疫力も落ちる可能性があるからです。
追記 私の信念として、健康の話は(他人から)聞かれない限り、決して助言も意見もしません。何故なら、健康知識とは、本人が望まない限り、決して(科学的な事実に)書き換えられないからです。私の未病対策は、膨大な科学的な情報を精査して、結論に至っていることは言うまでもありません。さらに、科学的知識は、科学の発展(新しい発見)と共に変化し続けます。
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