シェエラザード/村上春樹
あらすじ👇🏻
羽原(はばら)はその女をシェエラザードと名付けた。彼より4歳年上の35歳で、基本的には専業主婦で、小学生の子供が二人いた。彼女は週に二度羽原の住む「ハウス」を訪れ、『千夜一夜物語』の王妃シェエラザードと同じように、性交するたびに興味深い不思議な話を聞かせてくれた。
感想👇🏻
どこまでが真実なのか分からない曖昧性が、読んでいてとても楽しい。
歪曲した私の好きな考察👇
シェエラザードが高校生時代に空き巣に入っていた相手は、実は羽原だったというもの。
ハウスに入れられているのは、母親が、女性関係の影響で精神病や記憶障害を起こしてしまった息子(羽原)に、昔シェエラザードが行った話を聞かせる事で、本来の姿に戻って来て欲しいという理由からだ。
しかし羽原は、シェエラザードもいずれ居なくなる、失ってしまうという事実に耐えられなくなっている。
ある特定の女性の隣が、自分自身でないといけないという特殊性を感じたいのだ。
または固有性という概念が無く、知らない経験さえも自分と同一視ができるようになりたいとも言える。
彼は女性と理由なくずっと一緒にいる、寄生生活を送りたい哀れな人間の1人なのだ。