見出し画像

人生は短すぎる!

 昨日に続き、文芸春秋8月号の特集「昭和100年の100人」から、三島由紀夫ついて、横尾忠則が書いている記事を紹介します。
 
 三島由紀夫は、1925年1月14日生まれ、なんと、私と同じ誕生日だ。余計な事だが、子供の頃から尊敬するアルベルト・シュバイツアは1875年1月14日に誕生している。これを知った時、1月14日は特別な日だと喜んだものだった。
 
 三島由紀夫は青春の多感な時代に戦争を経験し、戦後の世の中が一斉に、かつ安易に戦争体制を批判する様に違和感があったのだろう。又、人の生死に伴う輪廻転生が当たり前に描かれている。結局1970年45歳で世に衝撃的な割腹自殺をしてしまった。
 
 記事を書いのは、画家の横尾忠則氏だ。彼は1936年生まれだから、三島氏より12年下、現在88歳になる。三島氏に出合って彼の聖俗一体的な言動に触発された。この記事では、三島氏との個人的な付き合いでのエピソードが記され、三島の人間性の根幹、人生そのものがうかがえて興味深い。
 
 以下、記事の一部を抜粋する・・・・
 そんな三島さんですが、礼節にはとても厳しい人でした。待ち合わせに遅刻すると、酷く怒られる。「君の作品は無礼だ。でも芸術作品は無礼でいい。けれど、日常生活は礼儀礼節を大事にしなさい」・・・「縦糸が創造、横糸が礼節。この二本の糸が交わるところに霊性が宿る。この霊性こそが一番大切なんだ」・・・三島さんは、この世界は霊性より知性ばかりを重視しているとも嘆いていました。・・・
 三島さんの死後、仏教哲学者の鈴木大拙が、「霊性の覚醒は、知識人から始まらない。むしろ無知愚鈍なものの魂から」と言う言葉を語っているのを知りました。・・・三島さんのインファンティリズム(幼稚性)を纏った振る舞いは、霊性への道を模索していたからなのだと気が付きました。
 知識人でもあった三島さんにとって、この世は生きづらかったことでしょう。割腹自殺というパフォーマンスがかった、演出的な「遊び」のような亡くなり方を選んだのも、霊性の世界に行くためだったのだと思います。
 
 三島由紀夫を読んだのはかなり前のこと、明確には覚えていないが、そう言えばそうか、と思わぬでもない。再度読んでみたいとも思うが、現在の積読状態を鑑みれば、直ぐには無理だ。人生は・・・・短すぎるのだ!

いいなと思ったら応援しよう!