「ブルータス、お前もか?」
この数か月、塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んでいる。先日Ⅴまで読み終えて、現在Ⅵを読み始めている。
「ローマ人の物語」は塩野七生さんの歴史小説。「なぜローマは普遍帝国を実現できたのか」という視点のもと、紀元前のローマ建国から西ローマ帝国の滅亡までを描いている。1992年、塩野七生さん55歳の時に、新潮社から第1巻が刊行され、以降毎年に1冊ずつ刊行され、2006年12月刊行の15作目で完結している。
当方は「ローマ人の物語Ⅰ」が刊行されて以来、毎年続編が刊行されるのを楽しみに読んだものだった。昨今、我ながら何を思ったのか、もう一度「ローマ人の物語」を読もうと思い、アマゾンで単行本を取り寄せて読み始めた。単行本では15冊、文庫で45冊だから、先は長い、適当に他の本も読みながらだから、いつ読み終えるのか見当つかないが、取り敢えず、Ⅴまで読み終えた。
Ⅳ、Ⅴは、ユリウス・カエサルの物語だ。かれはガリア(今のヨーロッパ中央)を転戦して全てで勝利、ローマの支配下におさめる。この転戦を彼自身が詳しく書いた「ガリア戦記」が貴重な歴史の資料でもあり、文学的価値も高く評価されている。日本語訳も出ており、アマゾンで、ワイド版岩波新書(カエサル著近山金次郎訳)購入した。2000年以上前に書かれたカエサルの本を、アマゾンポチで買ったわけで、なんとも不思議であり痛快でもある。
「ガリア戦記」は、もう一人のカエサルが、自分自身を観察しているが如く、ガリアの転戦を丁寧に詳しく記録し、個人の感情を抑えて誇張することなく冷静に記述している。感情がほとばしるような記述は出来なかったのではなかろうかと思うが、それが逆に新鮮な印象なのかもしれない。何となく理解できる。
ガリアを制覇したカエサルは北からルビコン川を渡りローマに進軍、地中海全域を舞台としたポンペイウスとの内戦に勝利して、カエサル体制を確立した。カエサルによるものではない「内戦記」も出ているが、あまり評価されていない。以降、カエサルが全ての支配権を握り、市民の人気も絶大、各種改革を進める。ところが・・・・紀元前44年3月15日、世に有名なカエサル暗殺事件が発生。元老院議場で、反カエサル派元老院14人が次々にカエサルを刺した。シェクスピアで有名な「ブルータス、お前もか?」のあの事件だ。
暗殺を実行した反カエサル派は、カエサルの独裁に反対し、元老院による共和制への揺り戻しを図ったのだが、結果は失敗し、暗殺は何の意味もなさなかった。今、その続きを読み進めている。