「自分が選んだ事を正解にする」には何が必要か
それぞれの思いをふくらませてスタートするはずの2020年4月は、思いがけない日常となってしまった。いろいろな経験を重ねながら大人に近づいていくために、人と出会い親しくなり語り合い、笑ったり怒ったり学んだり…。
そんな期待していたものとは違う現実の中で少々心が曇りがちの人もいるかも知れない。それでも時間は過ぎていく。誰も平等に一日一日が過ぎていく。
人との出会いやふれあいが減った今は、自分と向き合う時間が持てるという一面もある。今回は「選ぶ」をキーワードにこれまでのことを思い出しながらこれからのことを考えていきたい。
【 「選ぶ」 ということ 】
人には自分で選べることと選べないことがある。自分で選べないことを運命というのだろうか。例えば生まれた国、性別、親、境遇、身体…。
一方、自分で選ばなければならないこともたくさんある。まず、これまでのことを思い出してみよう。
物心がつきだした頃から、いろいろな場面で「選ぶ」ということが始まる。どのお菓子を食べるか、どの服を着るか、誰と遊ぶか。その頃はきっと真剣に悩み迷っていた。
しかし、今考えると、どちらを選んでもそんなに大した違いはなかった。もう少し大きくなると習い事を始めた人もいるだろう。選ぶ時はたいてい、近所に教室があるとか、友達が習っているので一緒に習いたいとか、親が勧めるからとか、単純な理由で始める。あまり熱心に取り組まずにやめてしまったりやめたいのにやめさせてもらえない、ということもあったかもしれない。楽しくてずっと続けてきたという人もいるだろう。
小学校、中学校、高等学校の生活も選択の連続だったと思う。この時代は、悩みながら選択しているようで実は限られた選択肢の中から選んでいたことが多い。実際のところ選択肢はあまりなく、世間や親が勧めてくれる選択肢から選ぶしかないことが多く、どれを選んでもそんなに大きく失敗することもなかった。
中には、反対されながらも自分の意思を貫いて人と違う自分の道を切り開いた人もいるかもしれない。たくさんの選択の結果として今の自分がいる。
思い出しながら確認してほしいことが二つある。一つは、なぜそれを選んだのか。選んだ時の基準。好きだから、何となく、誰かが勧めてくれたから。多分ほとんどの場合は直感で選んだのではないだろうか。そして、意外にうまく選んできたのではないかと思う。
二つ目に思い出してほしいことは、選んだあとの自分の行動。やると決まったあと自分はどのような行動をしたか。どんな努力をしたか。誰と出会い、どんなことを感じたか。
10代後半、高校を卒業してから急に選択肢が増えてくる。自分で考えて自分で選ばなければならないことが増えてくる。これが大人になっていくということなのかも知れない。直感で選べるうちはいい。
しかし、迷うことも増えてくる。後悔したくないという思いが湧いてくる。
「自分が選んだことを正解にしたい」と願うのは当然だと思う。それでは「自分が選んだことを正解にする」ために必要なことは何だろう。私は、選ぶ基準とそのあとの行動に答えがあると考える。
【必要なこと①】 自分の感覚を信じ、選ぶ基準を持つ
自分の感覚や考えで選ぶことは大切なことだと思う。時には自分の感覚や考えだけではなく自分以外の人のことを考えて選ばなければならない状況の時もある。そんな時は後悔することも多い。
好きとか興味があるとかチャレンジしてみたいとか何となくとか、純粋に自分で選べる環境が整っていることは感謝すべきことではないだろうか。また完璧主義の人はたくさんの選択肢を準備してから選びたいと考えるかもしれないが、そんなことをしているうちに時間は過ぎていく。
選ぶ時は自分の感覚や考えに忠実であることを優先したほうが良い。このことを経験の中で知っている人も多いと思う。自分のことを優先させることが難しい時も、できるだけそういう心境や状況を作り出す努力や工夫は必要である。
時には迷うことがあると思う。迷った時のために選ぶ基準をいくつか持っておくと良い。大事にして欲しい基準は、命を優先する選択、正しい方、自分が幸せであること。その他にも自分の基準を持っておくことは大事だと思う。
【必要なこと②】 選んだあとの行動
これまで、自分がすることを選び「これをしよう」と決めた時にどう行動してきたかを思い出してほしい。ひとりで頑張ることもあったかも知れないし、仲間や友達と一緒にすることもあっただろう。うまくいく時もうまくいかない時もある。何とかなるさと考えたこともあったと思う。
しかし、振り返ると一生懸命した時のことが思い出されるのではないだろうか。努力した時の自分は魅力的だったのではないか。誰かと感情を共有した時のことは強く心に残っているのではないか。
一生懸命にしているうちに嫌いだったことが好きになったという経験をした人もいるかも知れない。予想していた以上の成果が得られたこともあったかも知れない。
努力したこと、一生懸命に何かをした経験、誰かと共有した感情は、一つずつ自分の中に残っていく。この経験こそが大切なものではないかと思う。成長したとも言える。自分の選んだことが正解だったかどうかは、誰かが決めることではなく自分が決めることなのだ。世間の物差しで測る必要はない。
【選んだ事を正解にする】
ぼんやりした不安定な未来を目の前にしている今も、何かを選ばなければならない瞬間があなたに訪れてくるだろう。その時に、自分の感覚や考えを大事にした上でしっかりと選ぶ基準を持ち、選んだらベストをつくす。きちんと取り組む。そうすることが「自分の選んだことを正解にする」道ではないかと思う。
その中でたくさんのことを経験する。知らなかったことが見えてきたり嫌いだったことが好きになってきたり。
正解かどうかは、世間ではなく自分が判断する。どんな経験をして何を得たのか考えてみるといい。そうすることによって、人は「自分が選んだことを正解にする」ことができるのではないだろうか。