【昭和の北海道 4コマ漫画とエッセイ】富山の薬屋さん
冬の北海道を歩いて訪問する 富山の薬屋さん
北海道の外れ、昭和40年代は国道も整備され、自家用車を使う人も増えている時期。
そんな時代に、なぜか富山の置き薬を売るおじさんは、歩いて農家を一軒一軒回っていました。
外は一面雪で真っ白ですから、その中を大きな風呂敷包みを背中にしょって歩く姿は、遠くからでも目立ちます。
背中にしょっている大きな荷物は、柳行李というかご。それを何段にも重ねて、たくさんの種類の薬を区分けして保管していました。
紙風船のプレゼント
私と姉の楽しみは、おじさんがくれる紙風船。丸いカラフルなものと、四角いシンプルなもの。
私たち姉妹は、特別なおもちゃを持っていなかったので、それが とても楽しみでした。
そして、細長いゴム風船で作ってくれる動物や花。キュッキュッと音を鳴らしながら、あっという間に出来上がります。
その作る様子を見るのが、特に好きでした。
それから
その後、いつごろからか 車で訪問するようになり、私たちも成長し 紙風船には喜ばない年齢になっていきました。
私の 富山の薬屋さんの記憶は小学生まで。その後は もう来なくなっていたのか、または自分が成長して薬屋のおじさんに興味がなくなったのか、わかりません。
私と富山の薬のおじさんは、ほんの数年、一年に一回会うだけのつながりだったのです。
ささやかなつながり、だけど
それなのに、こんなに鮮やかに記憶に残っているのは 彼の人柄とか、紙風船の楽しみもありますが、
たぶん、風呂敷包みをしょって、雪の中を歩いてくる不思議な人という印象、近所で会う農家のおじさんと違った雰囲気があったのでしょう。
そして、もしかしたら おじさんも 私たちが紙風船をもらって喜ぶ様子に、何か感じていたのかもしれません。
幼少期の ほんの小さなかかわりでしたが、思い出すと 今も心があたたまります。
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