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今日は良い子の日

登場モノ

揚げ玉夫:揚げ玉の妖精

かまど:かまどの妖精

その他妖精

油池のほとりで両親に早くに死に別れた少年の揚げ玉夫(あげたまお)は細々と便利屋のような仕事をして暮らしていた。

ある日、けちん坊で金持ちの家のかまどの火を守る仕事を引き受けた。

かまどはまだ幼い玉夫の顔を見て可哀そうになり、夜になって、とろ火の子守唄を聞かせた。

玉夫は寝てはいけないと自分の体をつねったりしたけれど、とろ火の子守唄は

日頃疲れている玉夫を包み込んで、おっかあのような優しさで眠りの世界に誘った。

玉夫はこっくり、こっくり、寝てしまい、フッと目を覚ますとかまどの火はすっかり消えていた。

玉夫は途方に暮れて、少し泣いたけれど、静まり返った真っ暗な夜に飛び出した。

玉夫は火を求めてさ迷い歩いたけれど辺りは真っ暗で火がともっている場所はどこにもなかった。

春とは言え、夜はまだ寒く、歩き疲れた玉夫はもう、このままおっとうととおっかあの住む世界に行きたいと思い、

墓地への道を歩いた。

すると青白い鬼火がふわふわと飛んできて、玉夫に声をかけた。

玉夫は泣きじゃくりながら鬼火に自分のしくじりを話し、おっとうとおっかあのいる世界に行きたいと泣いた。

ユラユラとした鬼火は玉夫を哀れに思い、かまどの火を付けることにした。

けれども青白い鬼火はなかなか火を起こすことが出来なかった。

鬼火は朝に自分は消える身だからと消え入りそうに玉夫に話した。

玉夫は鬼火に独りぼっちの自分に声をかけてくれてありがとうと言った。

鬼火はその言葉を聞いてさらに頑張り、ようやっと火を起こすことが出来た。

火が入ったかまどは玉夫に良かれと思って歌った子守唄が玉夫を苦しめることになってすまないと詫びた。

玉夫はかまどが親切で歌を歌ってくれたのは分かっていたので、

ありがとうと礼を言った。鬼火は夜が明けきっていないのを感じて

安心して玉夫とかまどにサヨナラと言って帰って行った。

かまどは玉夫の態度に感心して、おしゃべり火の粉に玉夫の話を聞かせた。

するとおしゃべり火の粉は子供を欲しがっている優しい夫婦がいることをかまどに教えた。

かまどはお金持ちの家主に懸命に玉夫の話をした。

家主はけちん坊だったので他人にそんな恩を売っておくのも悪くないと

玉夫と夫婦を引き合わせた。

優しい夫婦は玉夫を一目見るなり気に入り、

玉夫ももう、一人ではないと思い、この家の子供となることにした。

その後玉夫はなに不自由なく暮らし学校にも通い、楽しく暮らした。

時々鬼火と火の粉はその様子を見てかまどに知らせ、みんな笑顔になりましたとさ。

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ポリポリ
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