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今日は脱出の日

登場モノ

真麻アナ五郎:アナゴの妖精

黒阿奈加:アナゴの妖精

塩ビ管の穴の中、真麻アナ五郎(まああなごろう)と黒阿奈加(くろあなか)が閉じ込められている。

アナ五郎:ここは、暗いねぇ、どうしてこんなところに閉じ込められちゃったかな。

脱出をしたい気持ちはあるんだけどさ。

阿奈加:そうですね、逃げ出したい気持ちは重々あります。だって私ら、広い海を泳ぎまわっていたじゃないですか。

アナ五郎:体が金縛りにあったみたいに動かないんだ。どうした事だろう。気持ちが卑屈になっているわけでもないのにもっと閉じ込めてほしい気がする。

阿奈加:ええ、ええ、私ももっとギュウギュウ、ヌルヌルしたいです。

アナ五郎:上手いこと言っちゃって、本当は淡白な僕よりさ、脂ののったウナギさんの方が好いんだろう。スッゴイ、らしいよ。

阿奈加:まぁ、御冗談を言っては困りますよ。確かに私たちは硬骨魚網ウナギ目ですけど、恍惚じゃありませんし、ウナギ目と言ったって、ウナギさんとは科が違いますよ。人間とチンパンジーは科も一緒ですけど、同じなんだから付き合えるだろ?なんていうモノいないでしょ?

アナ五郎:そうだね、僕ら雑に扱われて、同じだろなんて言われてきたから、自分でもそんな風に考えていたんだな。君はしっかり分かっている。僕らは同じ穴のアナゴってことを。じゃ、僕らが閉じ込められて二人でいたいのは…

阿奈加:私たちは運命のめぐり逢いを体験しているんじゃありません?

アナ五郎:僕は、閉じ込められちゃったと思ったけど、君のお蔭で、愛のない状態から

脱出できたんだね。気づかせてくれてありがとう。もっと二人でくっ付いていようよ。

※アナゴ本来の生態とは一切関係ありません(笑)


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