今日はおむすびの日
ヤヤコシイだけの話。
泣きながらボーマンツウーがハルン2号に話しかける。
ボーマンツー
死んじまったね。ボーマンワンとハルン1号、ブドウ糖に塗れて、それでも働いて命を落としたよ。こんなの、労災認定されないなんてこの国はどうかしている!!
ハルン1号
あのさ、感傷的になっている所を邪魔して悪いんだけど、話がややこしくなるから、ソー言うの止めて。
一つ言えるのは彼らが生きて、動いて、働いていたからこの念をさんの体内は、世界は平穏だったの。それを当たり前と思っちゃいけない。
そら豆村の誰かが辛くとも、悲しくとも、サボりたくとも生きている、動いている、働いている。
だから念子さんの血圧は安定し、身体は疲れない。それは信じられることだし、愛に通じる事だと僕は思う。
ボーマンツー
僕の仕事なんてただこの村で、原尿を作り、血圧を安定させるだけ、働いた時間をただカネに変えているだけだと思っていたよ、だけど違うんだね。
ハルン2号
勿論だよ、君は原尿を作り血圧を安定させる仕事をして時間をカネに変えているだけのモノなんかじゃない。
僕達の毎日の積み重さなりが、昨日から今日のつつがない日々につながっている。絶え間なく生きる、動く、働く。
時には小さな軋轢はあっても、みんなの毎日の地道な努力が今を、明日を安心して迎えられるようにしている。それは愛の努力だと僕は思う。
ボーマンツー
僕は卑屈になって仕事を投げ出す所だったんだ、ありがとう、ふたりの死も無駄ではないんだね。
ハルン2号
ああ、彼らは与えられた使命を果たして死んだ。そして平穏に僕らはそのタスキを受けて、何も変わらない。この世界に無駄な死などはないんだよ。
僕らは生きている、そしていずれはお別れする。僕らは自分の使命を果たそうとしてみんな、みんな、もがいて生きている。
時には僕らの日々の暮らしはちっぽけでつまらなく感じることもあるだろう。でもそうして傷つきながらも僕らは確実に愛に導かれ、愛に結ばれ、愛に包まれて生きている。
だって君も僕も今日と同じ明日、今日よりも少し明るい明日を生きることを当たり前と信じているんだから。
僕らは愛で結ばれている。もしそうでなかったら、コンビニにパン一つたりとも並びはしない。そこにあるのは無秩序で、信用する事のできない混沌とした世界だろう。
ボーマンツー
恥ずかしいなぁ、
僕泣いちゃったよ。だけど僕、あの、半グレブドウ糖たちが憎い。懸命に働いていた彼らを死に追いやったんだから。
僕はあいつらを許さない。でも、どんな対抗策があったんだろう?
ハルン2号
うん、なんだか、前フリが長引いちゃたけど、明日は糖尿病性腎症の予防について話そうよ。そして肝心なのは半グレブドウ糖と鍵男たちの事を知ることかも知れない。
つづく