今日は穴子の日

登場モノ

貝紐パンデカ：貝紐の妖精、セクシー警察官

偽銀穴子：偽銀穴子の妖精、仕事にあぶれて暴力をふるう

その他妖精

ラブラブ国貧民街の警察署。偽銀穴子（ぎぎんあなこ）と丸穴子（まるあなこ）が取っ組み合いの喧嘩。割って入る貝紐パンデカ。

貝紐パンデカ：いい加減にしなさい！！ここをどこだと思っているの？偽銀穴子さん、あなたねぇ、丸穴子さんの家を訪問して激昂して殴りつけそうになって、警察呼ばれたんだよ。
少しは冷静になって！！

偽銀穴子：これが冷静でいられますか？借金取りが昼夜関係なく、来るんですよぅ。これもそれもこの女の仕業なんだ！！

貝紐パンデカ：借金に、暴力沙汰に、偽の付く名前と怪しいところだらけだわねぇ。

偽銀穴子はわっと泣き伏せ、しばらくしてハンカチで鼻をかみつつ、

偽銀穴子：デカさん、わたしねぇ名前に偽が付くから疑われて、疎まれて仕事ないんですよ。

でもわたしは正真正銘の国産。名前はね、銀穴子さんの別名が御殿穴子と言うんで、御殿さんにね、
銀を譲って下さいってお願いしましたよ。でも、御殿さんは、通称を使うのは昔っからのしきたりだって言ってよい返事は貰えませんでした。

貝紐パンデカ：アラ、銀穴子さんには二つ名があるなら、くれてもいいのにね。銀穴子なら、なんだか立派よ。

偽銀穴子：まぁ、でも御殿さんのところも、うちと変わらない貧乏暮らしで、練り物仕事ばっかりです。
穴子として仕事があるのは真穴子さんと黒穴子さんとこくらいで。でもこれまでは私らだって、スーパーの仕事を貰って、細々と生計を立てていました。
でも、その仕事はこの、丸穴子に奪われたんです。

貝紐パンデカ：そ～なんだ、でも、それは仕方ないわよ。働きモノなんじゃないの？丸穴子さん？それに名前も丸穴子って、親しみが持てるわね。

偽銀穴子：とんでもない女ですよ！！そもそも、この女はこうして穴子面してますけど、穴子の皮を被ったウミヘビですから。 よそ者ですから。

貝紐パンデカ：マジで？これはお話を伺わないと丸穴子さん？

丸穴子：ワタシ～、難しい日本語、分からないねぇ。

偽銀穴子：ほら、すっ呆けてずる賢い女。

貝紐パンデカ：ちょっと待って、ちょっと待って、この国では偽名は重罪よ、なのに丸穴子さんはスーパー、回るお寿司、お弁当と幅広く商売しているなんてヘンよ。

偽銀穴子：この女はこっちに来るときのどさくさに紛れて標準和名を穴子と名乗ったんですよ。そしてこの国の決まりでは標準和名が正しいんです。穴子じゃないくせに～。

貝紐パンデカ：アナゴ界のダークな一面なのね。偽銀穴子さん、お気の毒だけど、この件、しがない公務員には荷が重すぎるわ。今日のところはお咎めなしにするからそれで勘弁してね。