今日はアイスクリームの日
登場モノ
タベルナ店主况:ワインコルクの妖精
エスプレッソ:エスプレッソの妖精
その他妖精
アイスクリームちゃんとの不倫がもとで、転勤になったエスプレッソだったけれど、彼の不倫は収まらず、
会社も首になり妻とも離婚した。
既に40代半ば、再就職は厳しく、アルバイトで日々をしのぐようになっていた。
今日は月に1回の外食デー。店主の况が一人で切り盛りしているこじんまりとしたタベルナでの夕食。
エスプレッソ:今日も美味しかった。ごちそうさまです。
况:こちらこそ、こんなご時世に来ていただけるだけでも有難いです。
これ、よろしかったら味を見てください。
今度、弁当も始めようと思いましてね、パニーニを作ってみました。
エスプレッソ:ああ、これまた、とても美味しいです、御主人のお料理を毎日食べられるモノがいると思ったら、羨ましいな。
况:私は妻に先立たれましてね。お客さんが喜んで食べてくれる事だけが、生き甲斐なんですよ。
それにしてもエスプレッソさんに褒めていただいたので安心してお店に出せます。
エスプレッソさんは舌が肥えている感じだから。
エスプレッソ:とんでもない、実は私も最近やもめ暮らしを始めたばかりで、こちらにうかがうのが楽しみ。
こうしてご主人とお話しできるのが月に一度の贅沢。
况:ああ、私ったら立ち入ったことを聞いてしまいました。ごめんなさい。
エスプレッソ:いえいえ、よろしかったら聞いてもらえますか?誰にも恥ずかしくって言えないんですけど、
一人、胸にしまっても置けなくって。
况:大丈夫ですよ、私の名は言わん!!ですから。
エスプレッソ:ハッハッ、それじゃあ、安心だ。実は私、不倫で仕事と家庭を失いました。
女性の名はアイスクリームちゃん。同じ会社で部署は違っていたんですが、
若くって、かわいくって、甘い匂いがして一目ぼれですね。妻もいたのに…
况:エスプレッソさんはオモテになりそうだから、そう言うこともあるんですよ。
エスプレッソ:はじめのうちはドルチェ、ドルチェで楽しかったな。
アイスクリームちゃんの心がだんだんと私に傾いてくるのが分かりました。
况:甘い生活、そして恋に溺れるってなかなか誰にでも経験できることじゃありませんよ。
エスプレッソ:アイスクリームちゃんも私もね、二人が関係を続けられるようにする事に頭が回らず、
会っている時でも次のデートがベローチェ、ベローチェな気分でした。
况:不思議ですね、その感じ。
デートしているのにまだ会いたい、次は次はと逸る(はやる)気持ち、
それ、私にもあったような気はします。
エスプレッソ:打ち上げ花火みたいな恋で周りが何にも見えていませんでした。
アイスクリームちゃんはわたしの事を
「愛す、愛す」私はそれしか言葉を知らないって言いましたよ。
私は駄目な男で、毎日そう言われているとなんだかうっとうしくなってしまって、
隣のかき氷イチゴちゃんの方がさっぱりしているかな?なんて思うようになったんです。
况:恋は高くつきましたか?
エスプレッソ:はい、その通り、アイスクリームちゃんは私にアフォガードしすぎて、溶けてしまったんです。
彼女は消えてしまいました。そして私は仕事も家庭も失いました。
况:今でもあなたはアイスクリームちゃんが忘れられない?
エスプレッソ:忘れたくても、溶けてしまった彼女の一部が私の心にべったりと貼りついています。
彼女のマキアートは私の心に住みついて居るのでしょう。
况:アイスクリームちゃんは清純無垢なんですよ。
私はその心に汚れがあるとは思えない。
アイスクリームちゃんはかつて戦場の兵士たちにも愛されたんです。
エスプレッソ:ご主人、あなたはどうしてそれを…
この話はそのうち続く。