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映画『TAR』感想~はっきり白黒つけられないグレーな物語の魅力~

映画『TAR』感想が少し長くなったので、noteでまとめてみました。
ふせったーでつぶやいた内容+αで、ネタバレありです。

【1】ターのことをはっきり白黒つけられない

本作の主人公ターのことは、清廉潔白でもなければ絶対悪でもない、グレーなキャラクターだと思いました。さらに、Twitter等で他の方の感想を見ると結構いろんな見方があって、グレーでも人によって見え方は様々だなと思いました。
人によって見え方の違う、グレーなキャラクターのグレーな物語、私にはそこが面白かったです。

ちなみに私のターの見え方は以下のような感じで、比較的白寄りのグレーだったと思います。

  • ジュリアード音楽院のシーン、学生の態度も相当悪いし、ジュリアードにクラシックを学びに来てバッハ聞かねえはありえんだろと素人目には思いました…。
    悪意の編集をした切り取り動画を上げる方がよっぽど悪ですし…。
    ターもかなり言っていましたが、まあジュリアードならそのくらいやるだろという感覚でした。

  • 副指揮もチェリストのソロ担当も、コネではなく実力で選定しているようには見えました。チェリストの方は関係者の投票ですし。
    その結果恨みを買うのも、ああいう立場にある人なら引き受けるべきことだろうと思いました(ケアは足りなかったかもですが…)

  • クリスタの件はさすがにターが悪い、というか劇中の情報が少ないので、ターが悪いように見えるという感じです。
    この正確なところは分からない感じ、ネット越しにキャンセルされている人を見るような、物事がフィルター越しにしか見えないモヤモヤ感がありましたね。

  • 本の発刊イベントのシーン、ターのことを動画に録って語彙が貧困とか冷笑するチェリスト…。表ではいい顔をしておいて裏ではこれかよ…。こっちの方がよっぽどいけ好かないですね…。

そんな感じの、悪ではあるけど絶対悪でもないグレーな感じ、見る人によって見え方が変わってくる感じがこの映画の好きな所です。

そして、そんなグレーさのなせる業か、自分もターみたいなことをやりかねないなと思ったりもしました。あんな天才ではないので、あったとしても、あれのスモール版みたいな感じですが…。
天才を描いているのに、自分にも起こりかねんと思わせるところも本作の好きな所です。

【2】ラストの解釈とED曲について

終盤に大阪の作曲者云々の話が出てきたときに、これってゲーム音楽をやる流れじゃね?逆転裁判オーケストラコンサートみたいなので指揮をするとか……って思ったら、本当にそんな感じの話になってびびりました…。
ここで先の展開が読めるのは、世界中でも日本人(日本のオタク)だけかもしれないですねw

あれを堕ちたと見るのも可能かもしれないですが、純クラシック以外を下と見るのも嫌なので、個人的にはターのどっこい生きてるタフネスと解釈したいですね。

あと、エンドロールで普通の曲が流れたのもちょっと驚きました。
あの流れなら、GalneryusのBRAVEHEARTSとか、RhapsodyのEmerald Swordとか、TURISASのBattle Metalとかのオーケストラバージョンみたいなのがかかってほしかったです…(与太話です)

ターにはあそこで、戸惑いつつもキレキレの指揮でバトル!メタル!みたいなのをぶちかましてほしかった気がします(完全なる与太話)

■TARの私的EDテーマ
TURISAS/Battle Metal ※これのオーケストラバージョンがあれば…

【3】妄想:映画『TAR2』

TARから5年後、場所は日本。
そこには赤木リツコのコスプレでエヴァンゲリオンオーケストラコンサートを指揮するリディア・ターの姿があった…。
日本のエンタメ業界をタフに生き抜くター再起の物語。
日本はいいぞ。抹茶も気軽に飲めるし。

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