たたん、
林檎が転がっていくのを見ていた
貴方が罪だと言ったそれが
肚の中に根付いていたことを知っていたでしょう
坂道の上にわたしたちはいない
いつだってこの地面は平衡だ
何処か遠くの世界ではなく
目の前で起こっているというだけのはなし
宇宙は風船の中にあった
そういうことでしょうと形の良い唇が嘯く
足の裏が
その果実を踏み潰してしまえば良かった
わたしたちは愚かなけもの
だから此処が坂道であれば、なんて願っている
祈りにすらなれないものを
世界で一番短い呪いを
与えることも出来ないで
ねえ、わたし、ふこうでしょう
そう言ってしまえれば良かった
まだ制服の魔法がきいているうちに
世界が斜めに
ならないでいるうちに
翅が
もがれないうちに
林檎が転がっていくのを見ていた
此処はいつだって
わたしたちにはやさしくない
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