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疲労とは何か。

『疲労。慢性疲労症候群。ストレス。。。
いつも明るい人。いつも疲れている人。。。』

はじめに

 疲労を定義付けることは難しい。これは、人間を定義づけることと似ていて、数的な指標が存在しないからである。「疲労したから理想的な自分が表出できない」という命題の真偽はわからない。例えば生体内で起こるホルモンバランスの変化が感情を変化させるとも言えるし、感情によりホルモンバランスが変化するともいえる。そして、そもそも感情とは何か?という哲学的な思考に至る。疲労もそのようである。17世期にデカルトが物心二元論を唱え、魂と物質を全くの別物と捉えた。そこから医療技術が進歩してきたという背景からも、この問題は非常に頭を悩ませている。
 しかし、私たちは、「疲れた時こそ顔を上げる」「落ち込んだ時には笑ってみる」など、行動から心理状態をコントロールすることができる。このことは、現象としては疑い得ないことだ。現在、心と物の繋がりを科学的に証明することはできないが、その相互間には必ず繋がりがあるだろう。そして私たちの感情または行動次第でそれらをコントロールできるかも知れない。

 今回、疲労についてお話ししたいと思います。やはり、テーマがこの様ですので、文字を目で追っているとポップ🎵な感情にはなりませんね。でも、口角を上げて読んでみてください。面白おかしくなってくるでしょう。


疲労とは何か。

 疲労は、「筋作業に必要な燃料不足、筋の代謝産物除去する循環機能低下」によって生じます。具体的には以下の項目が挙げられます。

・筋線維そのものの能力低下
・神経筋シナプスの効率低下
・反射を引き起こす末梢受容器の変化
・α運動ニューロンの発火パターンの変化
・心理学的要因

つまり、「動作を行う効果器である筋肉自体の問題」と「その筋肉に指令が到達されるまでの過程の問題」に分類できると考えます。それを専門的用語を用いると、

・末梢要因(peripheral):筋や神経筋シナプスで生じる変化
・中枢要因(central):α運動ニューロン、脊髄、脳の変化

と言います。

 

末梢要因:筋内メカニズム 

 疲労は持続的な電気刺激で引き起こされます。筋表面に電極をつけ、筋に持続して電気刺激を加えると、「活動電位の電導速度の低下」、「振れ幅の減少」、「持続時間の延長」、最終的には「活動電位が完全に停止」します。
 ①細胞レベルでは、細胞内外のイオン勾配の変化が生じています。細胞内外には、水H2Oと電解質が散在しており、電解質は、ナトリウム、カリウム、塩化物イオンが大きな割合を占め電位の均等性を保つ為に移動を繰り返しています。
通常は、
細胞内:Naイオン12mmol,    Kイオン150mmol,     Clイオン5mmol/l
細胞外:Naイオン150mmol, Kイオン5mmol/l,       Clイオン125mmol/l,
です。細胞内はKイオン、外はNaイオンが多いですが、細胞外K+濃度が増加することにより筋疲労が生じるそうです。
 ②外的刺激に対する筋線維の興奮閾値の変化。筋活動は、「全か無かの法則(All or None principle)」に従い、刺激がある一定の強さの基準を越さなければ生じません。しかし、その基準が変化することにより疲労が生じます。個々の筋線維で基準は異なりますので、閾値が上がる筋もあれば、下がる筋もあります。
 ③単収縮後の弛緩期の延長。ATP濃度の減少とCaイオン除去の遅延によります。ATPとは、人体のエネルギー源であり、これが加水分解される際に算出されるエネルギーにより私たちは活動しています。また、筋活動は、電気刺激が細胞膜表面を刺激することにより、筋小胞体というCαイオンが入っている袋が細胞膜表面に集まり、袋を開けることが引き金となります。そして、放出されたCαイオンがトロポニンと結合し筋収縮活動が生じます。Caイオン代謝不全が生じると、トロポニン との結合感受性が低下し筋収縮が生じにくくなります。筋線維は収縮した後は弛緩し、その期間は刺激の有無にかかわらず活動しません。その期間が延長することで、結果的に活動が低下します。

①細胞内外のイオン勾配の変化
②筋線維の興奮閾値の変化
③弛緩期の延長

中枢要因:脊髄内メカニズム

 最大随意収縮力は持続時間に伴って低下します。筋そのものの疲労は上記を挙げ、それ以前の指令段階における問題をお話しします。筋力の低下は出力の低下、つまり、「運動神経(α運動ニューロン)の興奮性の低下」、「個々の運動単位の発火頻度の低下」によります。
 サイズの原理のように、大きい運動単位は、発揮筋力は大きいが、発火頻度の減少と動員の停止を早期に示します。小さい運動単位は筋力は小さいが、一定の発火レベルを持続させることができます。
 また、筋線維の情報をフィードバックする役割を持つ筋紡錘の求心性発火頻度が減少し、その結果、筋の弛緩状態が延長します(自己抑制効果)。

④運動神経の興奮性低下
⑤個々の運動単位の発火頻度の低下
⑥固有受容器の求心性発火頻度の減少


その他

「セロトニン」
・長時間の運動は、脂質を分解する。その結果、血中にトリプトファン(セロトニンの前駆体)が多く遊離して存在する。
・長時間の運動は、タンパク質を分解する。その結果、血中に分岐鎖アミノ酸が多く遊離して存在する。
→分岐鎖アミノ酸はエネルギー源として利用される為、その濃度は低くなり、相対的にトリプトファンが脳内(血液脳関門を通過)に多く取り込まれる。その結果、脳内セロトニンが増加する。
 セロトニンは、幸せホルモンと呼ばれます。これは、副交感神経を優位にしリラックス効果が高まる為ですが、筋活動中のリラックスは、運動中において、活動量の低下を意味する為、疲労したと同義になるのかも知れません。

おわりに

他にも、アンモニア、サイトカインなど、様々な要因によって引き起こされるとされますが、難しくて僕の頭では追いつかないので、また賢くなったら投稿したいと思います。でもここまで掘り下げて考えると、なぜ「BCAA」というサプリが作られたのか、汗をかいたら水ではなく「スポーツドリンク」を飲むのがいいか、理解できますよね。ちなみに今、ポップ🎵な感情ですか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 p.s.「勉強は疲れる。」「でも最後のEnter Keyを押した時の達成感は計り知れない。」