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よく用いられる「お腹に力を入れて!」の本質

 トレーナーから運動を指導された、又は病院でリハビリを受けた方なら一度は耳にしたことがあるであろう言葉。
「お腹に力を入れて!」

「なんで?」「しつこいなあ。。」と思った経験はありませんか?
私自身、臨床で指導する立場にいますが、「しつこいなあ。。と思われてるだろうなあ」と思いながらそのように、又は言葉を選びながら指導しています。同じ境遇の運動指導者はいませんか?

これ以降、これについて独り言を書き連ねていきますので是非、へえ〜、ふーん。と読んでください。ただし、運動指導者の立場の方は、理解しておかなければならないと思いますので、今後のクライアントへの指導に役立ててもらえれば幸いです。

まず、「動作」。この言葉をどのように定義していますか?
それは、「関節運動の連続」による「連続的な姿勢の変化」です。
そして、関節が動くということは骨格筋が伸び縮みすることにより生じます。
さらに、骨格筋が動くということは、脳および脊髄からの「動きなさい!」という指令が神経を介して骨格筋まで伝達されるということです。

つまり、’動作’には’骨格筋’と’神経’が関与している。

 骨格筋の中には、固有受容器というものが存在します。これは、筋肉が伸びたり縮んだりした時に、「伸び過ぎや!ちぎれたらどないすんねん!」「速く動かしすぎや!ビビるやんけ!」といった、動きの速さや長さを感じる役目を持っています。
ちなみに、体を柔らかくするために行う一般的なストレッチの場合、この固有受容器が反応しない程ゆっくりと関節を動かすことにより固有受容器を鈍感にさせ、筋肉が伸びやすくなるという原理のもと行われています。
逆に、高くジャンプすることや、アメリカンフットボールやサッカーなどのスポーツで見られる瞬時に切り返す動きといった、一瞬の爆発的な力が必要な動作の場合、この固有受容器の反応を敏感にさせることにより、筋肉の素早い伸び縮みを可能とさせているという原理です。

つまり、’動作’は脳から「筋肉よ、働け!」という指令が出て、筋肉が働き、その結果が固有受容器から「伸びすぎだから縮めよう!ちょっと早く動きすぎかな」などの筋肉の長さ・速度に関する情報のフィードバックが脳または脊髄になされることにより成り立っています。

この脳・脊髄ー骨格筋の連関がスムーズにいく人は、動作が「うまい」ということになります。

その為、動作を身に付けるためには、
①どこをどう動かすのかを意識することにより、ターゲットにしている箇所に脳からの指令をダイレクトに送ることができること、そして、
②その箇所の筋の柔軟性や形(アライメント)を正常に準備しておくことにより、正確なフィードバックがなされること、を上達に向けてトレーニングしていくわけです。

これを「Neuromuscular Efficiency」つまり「神経ー筋効率」を高めると言います。



ここまで’動作’を細分化し、神経と骨格筋の関連について述べ、特に、筋の伸び縮みについて固有受容器の作用を交えながら語ってきました。
本題の「お腹に力を入れて!」には、それに加え、「固定」という作用が重要になってきます。また、脳からの指令を送る経路が手足とは異なっていることが、興味深いのです。

この続きは、本腰を入れて次の投稿で述べていきますので小休憩を挟ませて下さい。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。