【読書記録】飽きっぽいから愛っぽい
おすすめ度 ★★★☆☆
大好きな岸田奈美さん3冊目。
週刊現代に連載されていたエッセイというだけあって、これまでのものよりちょっと格式高い?綺麗めエッセイ。
変わらず、家族愛に溢れていて、笑いも散りばめられていてよかったんだけど、最初に読んだ「もうあかんわ日記」のトップスピードの笑いが大好きな私には少し笑い要素が足りなかったかな。
基本的に、家族の思い出(特にお父さんの思い出)が多めで、素敵な話が多い。笑いと愛が50%ずつの印象。
岸田さんの作品に何を求めるか、で評価が分かれると思う。
ご本人もあとがきに書いているように、「こうであって欲しかった」という「嘘」がそこかしこに散りばめられているらしい。
なるほど、これまでの作品と比べると、頭で考えて、何度も咀嚼して反芻して書かれたような印象を受けた。「洗練された」とも言えるけど、私にはやっぱり少し物足りなかった。
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もちろん全部、私が勝手に求める好みの話です。
岸田さんの文章を読むなら、反芻する暇ないほど溢れくる面白ネタを、書いてたら溢れてボトボト想いが落ちてくるような切実な文章を、読みたかった。
勢い余りすぎて、読者を引っ張って「あれ、私何読まされたん。面白すぎて読み終わっちゃったんだけど。なんだったん今の」みたいな疾走感、荒々しさ。
そういう意味で、「もうあかんわ日記」は現在進行形でnoteに書かれたからこそできた作品なのかもしれない。疾走感、荒々しさ。洗練?知らん知らん、求めてない。私は勢いに圧倒されたいんじゃい。
もちろん、嫌いじゃない。読んでよかったと思う。
岸田さんも、歳を重ねてたくさん文章を書いて、変化しているんだろう。
noteは相変わらず面白いし、書籍はこれからも追いかけようと思う。
主な作品で、あと読んでいないのは「傘のさし方がわからない」だけなので、また読んでみよう。