
【読書記録】バリアバリュー
おすすめ度 ★★★★☆
株式会社ミライロ創業者の自伝。ミライロは、ユニバーサルデザインをビジネスにした会社で、私の好きな岸田奈美さんが創業メンバーの一人だった会社でもある。
読みやすく、起業家の啓発本っぽい暑苦しさがあまりないのが好印象。1時間で読み切れる。
著者の垣内さんは、自身が身体障害者で車椅子で生活している。
創業に至るまでの人生は、綺麗事だけでなく挫折や諦めの繰り返しで壮絶。
だけど、学びになったところは障害に関係なく刺さるものだった。
「正しさ」を武器にしない
車椅子に乗っていると、たまにレストランなどで入店を断られることがあります。店内に段差があるから、忙しくて対応できないから、店が狭いから、と理由はさまざまです。
がっかりすることもありますが、「入店拒否するなんてこの店は正しくない!」などと思わないようにしています。(中略)
これでは、相手に「正義」を押し付けているようなものです。
これ、障害関係なく超大事だと思う。
正しさを押し付けると相手を追い詰めることになる。
私自身、うっかりやりがちなのでグサリと刺さった。
子育てでも「こうすべきでしょ?なんかお母さん間違ったこと言ってる?」
夫婦喧嘩でも「これこれこうだから私は間違ってない、あなたが悪い」
あ〜、反省しかない。
では、自分の正義を振りかざしたくなった時にどうすればいいかというと
「正しさ」ではなく「メリット」を相手に提示すればいいのです。
垣内さんの場合、レストランをバリアフリー化したら、今まで取り逃していた障害者や高齢者のお客さんが増える、というメリットを提示する。相手が前向きに考えられるように、責めるのではなく提案する。
すごく建設的で良い。
自分の正義を守りたくなったら、思い出すようにしたい。
偶然は準備のないものには微笑まない
垣内さんはミライロの代表として何百回も講演をしているが、実は人前で話すのは苦手だったそう。にもかかわらず、大きな失敗をあまりしたことがないという。
なぜか。それは私が小心者であるがゆえに、毎回毎回、事前の準備を怠らないように心がけてきたからです。
この準備が「8分のプレゼンのために2ヶ月練習する」みたいなとんでもないものなんだけど、ほんとこれも大事よなーと思った。
「世の中の失敗のほとんどは、準備不足が原因で起こる」
「やれるだけのことをすべてやったら、初めて楽観的になれる」など、納得と反省を込めて、ほんとその通りだなと思う。
自分をかえりみると…
私も小心者で心配性なので、旅行や大きな仕事の前はかなり前からあれこれ気を揉んで、準備するタイプだ。
もし旅先で大地震が起きたら…なんてことも想定して準備する。
仕事や資格試験なんかも、トラブルや難問が出てきた時を想定して異常なほど準備するので、結果満点合格なんてこともよくある。
ただ、人前で喋るのだけは別だ。
目立ちたがりで人前に出るのが好きなので、なんとかなる気がしてしまう。
でも別に上手でもないし、緊張しないわけでもない。
壇上に上がってはじめて「あれ?私緊張してる?」と気づき、口八丁手八丁で適当に喋って、イマイチやったな…って反省することがよくある。
でも目立ちたくてまたやってしまう、ということが多い。
対照的な夫は、人前で話すのがとても苦手だ。声が震えて、頭が真っ白になるのだという。だから、面接やプレゼンの前はものすごく練習している。一人カラオケで喋る練習をしたり、録音して聞き直したりしている。
客観的にみたら、彼のプレゼンの方が誠実で、良い評価をされると思う。
そして、そうあるべきだと思う。
そこそこに自信があったり、上手くできてしまうやつの方が大成しないという逸話にピッタリあてはまるやつだと思う。結局はコツコツサボらず、真面目にやる人が勝つ。
私も反省して、これからはしっかり準備しよう!と思うけど、考えてみたらもうそんな人前で話す機会もないだろう。
まあ子どもたちに反面教師として、面白おかしく話しておしまいやね。