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【読書記録】その本は
おすすめ度 ★★★★☆
小学校の図書室にあったんだけど、司書さんが「表紙が地味だから誰も借りてくれないの。。」と嘆いていたので借りた。わーい。
ヨシタケシンスケと又吉直樹の共著なんて、どうやっても楽しい本になるよね。本のコンセプトも面白くて、ヨシタケさんの描く二人の絵が雰囲気あって良い。
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ヨシタケターンと又吉ターンに分かれて、「その本は」で始まるショートストーリーがたくさん載っている。
ヨシタケさんの絵の部分なら、小学校低学年から楽しめると思う。
不思議なもの、笑えるもの、1行で終わるもの、意味がわからないもの、ちょっと怖いもの、色々あって好きなものから読める。
帯にあるような「抱腹絶倒・感涙必至」はオーバーだと思うけど、どれも楽しく趣がある。
最終的に全体の物語が「えっ?」という形でまとまって、本を閉じた後にニマニマしてしまう作りになってるのも、良い。
中盤にある又吉さんの短編小説は構成が上手くて、ちょっとした違和感をたくさん仕込んで、じわじわと謎が解けていく感じがよかった。
こういう小説を読んだことのない子どもにとって、「いつの間にか引き込まれる」という体験をするきっかけになるんじゃなかろうか。
中一息子も、一気に読んでいた。
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ここまで書いてふと、これこそが本の狙いかもしれないと思った。
子ども時代に質の高い本に出会うのは、結構難しい。
司書さんによると、学校の図書館ではいわゆる名作とか文学作品は子ども達には不人気で、手に取ってもらえないらしい。
だから、読みやすくアレンジした「5分で名作」とか「まんがで名作」みたいなものも増えていて、そっちは人気がある。
入口のハードルを下げることは悪いことじゃないと思う。
でも、多くの子は入口に留まって読みやすさ・わかりやすさがあるものばかりを読んでしまう気もする。(そこからステップアップする子もいるだろうけど)
そのハードルを超えるには、難しさを超える面白さがある作品に出会う必要がある。
でも、強制して読ませるわけにもいかないし、出会うって難しい。
簡単で笑える短い話の中にポンっと入ってきて、流れで読ませちゃうというのはすごく上手な方法だと思った。
本当の狙いはわからないし、狙いなんてないかもしれない。
実際表紙が地味というだけで、手に取ってもらえてないらしいし…