【読書記録】怠惰の美徳
おすすめ度 ★★★☆☆
怠惰についてつらつらと呟くエッセイ。
怠惰であかんよなぁ、これもあかんなぁ、と言いつつ、まぁええかぁ、しゃあないわな、という緩い肯定感がある。
梅崎春生さんの本ははじめて読んだけど、怠惰だ怠惰だといいながら、勉強めっちゃ出来てるようだし、小説もどんどん書いている。地頭がいいのか、謙虚なのかわからないけど、嫌味はない。
文章も小気味よく、ユーモアが効いていて面白い。
近所にいる、頭ボサボサで何の仕事してるかわからないけど、時々現れて主人公の少年の心に響く一言を残していく謎のあんちゃん、みたいな感じがする(伝わるだろうか)。
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戦後の混乱期など、結構ハードな内容も多いのに、どこか飄々としている。
一気に読む、というよりは怠惰な気持ちの時に、パラパラと読むのがよいかもしれない。
まあええかぁ、しゃあないわな、という気持ちになれる。
働かざる者食うべからず的な美徳があるなら、怠惰の美徳があってもいいじゃない、生きてるだけでいいじゃない。
後半は短編小説ということになっているが、テイストがひたすら怠惰の美徳なので、創作ということにしばらく気づかなかった。
怠惰が嫌い、常にエネルギッシュでいたい!という人には向かないだろうけど、人間そればっかりじゃ疲れちゃうし、怠惰だからこそ見えるものもある。
今日は寒いし、こたつに入ってみかんでも食べながら、これ読んでぬくぬくしようや。