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【自分らしく生きる童話】アリとキリギリス
童話でHappy♪☆その1
◇1◇
どこまでも高く突き抜けそうな夏の青空のもと、アリたちは自分たちの巣へ、せっせと餌を運んでいました。
ときには自分の何倍もあるような虫なども、みんなで力を合わせて運びました。
汗だくで働いているアリたちを木陰でのんびり眺めていたキリギリスは、木に寄りかかりながらアリたちに言いました。
「こんなに暑い日に、そんなに働いていたら体を壊しちゃいますよ」
アリは歩みを止めずに、キリギリスの方へ顔だけを向けて言いました。
「夏の間に餌をたくさん巣に入れておかないと、冬に食べるものが無くなっちゃうからね」
キリギリスは立ち上がり、歩みを止めないアリの横を歩きながら、
「なるほど、そうだね。君たちは大家族だから、食べ物がいっぱいなくちゃ、お腹空いちゃうもんね」
「そうなんです。だからこうやって、一生懸命働いてるんです」
「なるほど、なるほど。では、私は、あなたたちを応援いたします」
とキリギリスは言って、静かな声で歌いだしました♪
アリたちは働きながら、素敵なキリギリスの歌声に耳を傾けました。
とても透きとおった歌声は、森を流れる風のような静けさと、心地よい涼しさが感じられました。
おかげでアリたちは、暑さを忘れることができ、いつもより頑張ることができました。
こうして夏の間中、アリはせっせと餌を運び、キリギリスは横で素敵な歌を歌い続けました。
夏の終わりにアリたちは、素敵な歌で応援してくれたキリギリスに、餌を少し分けてあげることにしました。
「キリギリスさん、感謝を込めて、この餌を差し上げます」
「ありがとう、アリさん。私はそんなつもりで歌った訳では無かったけど、頂けるというのであれば遠慮なくいただきます。でも、こんなにいっぱい、食べきれるかなぁ」
1人で暮らしているキリギリスでは、何年かけても食べ切れないような量でした。
「私たちの気持ちですから、どうぞ遠慮なさらずに」
「分かりました、喜んでいただきます」
そして、アリとキリギリスはお互い辛い冬を乗り越えて、また来年の夏に会えることを祈って別れました。
◇2◇
やがて秋が来ました。
キリギリスは自分の家で、アリからもらった大量の餌を食べながらのんびり暮らしていました。
ここ何日かは、ずっと雨の日が続いていました。
あちこちで、水があふれ出し、地面は川のようになっています。
キリギリスの家は雨が凌げる木の枝にありました。
いつもの通り、鼻歌を歌いながら、何気なくあたりを見合わしていると、
「おや、あれは……」
キリギリスの家がある木に、何匹ものアリが昇ってくるのが見えました。
「おやおやアリさん、どうなされたのですか?」
「あ、キリギリスさん。こんなところで会えるなんて」
アリはキリギリスとの再会に驚きました。
しかし、すぐに悲しい声になり、自分たちの悲惨な状態を話しました。
「この雨で、巣が水浸しになってしまい、命かながら、この木に逃げてきたのです」
「それはそれは、大変な目に遭いましたね」
「はい、家族もだいぶ流されてしまいました……」
アリたちは川のようになって流れる茶色い水を眺めながら、ガッカリとうなだれました。
少し間を置いて、キリギリスは提案しました。
「もしよかったら、しばらくここで暮らしませんか?」
「よろしいのですか?」
「もちろんです。ここならアリさんたちからいただいた、たくさんの餌があります。しばらくは皆で暮らせるでしょう」
「ありがとうございます!」
アリたちはとても喜びました。
「困ったときはお互い様です」
と、キリギリスは言ってから、
「それでは、私から慰めの歌を贈らせてください」
と、歌い出しました。
静かに奏でられるキリギリスの歌を聞いたアリたちは、ひとりでに涙があふれてきました。
あるアリは泣き崩れ、あるアリは涙をこらえながら、じっくりと聞いていたり、
それぞれが、それぞれの思いで、悲しみと向き合いました。
アリたちは、ひとしきり泣きました。
そして落ち着いた後も、キリギリスはいろんな歌を歌いながら、しばらくの間、アリとキリギリスは仲良く暮らしました。
おしまい。
━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ちょこっとHappy♪☆
今回のもとのお話はコチラ
福娘童話集『 アリとキリギリス 』
遊んでいて辛い思いをするのは当然の報いかもしれません。
でも、遊んでいて生活できるなら、こんなにいいことはありません。
童話でHappy♪のキリギリスは、歌を歌うことが大好きです。
しかも、アリたちを涼しくさせたり、感情を高ぶらせたりするほどの上手さです。
歌うことでキリギリスはアリたちから感謝されて、餌をもらうことができました。
キリギリスは、ただアリたちを応援したいと思い、好きな歌を歌っていただけなのにです。
歌うことはキリギリスにとって、遊んでいることと同じ感覚でしょう。
それで、ひとりでは食べきれない程の餌をもらえたのです。
プロスポーツ選手はそのスポーツが好きでやっていただけで、生活できるようになりました。
テレビに出ているタレントも、ユーチューバーも、自分がやりたいことをやって、生活することができています。
自分にとって、遊んでいるような楽しいことやって、生活できるようになる例は、実はたくさんあるようです。
あなたの、遊び感覚でできる楽しいことはなんですか?
今日のHappyポイント♪
『 やりたいことをやれ by 本田宗一郎 』
あなたの意見をお聞かせくださ~い(^-^)♪
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