【ツイてないときの童話】嬉しいことが起こらないわけ
童話でHappy♪その3
今日は、どうして「嬉しいこと」ってあまり起きないか、お話するね。
むかしむかし、人間に嬉しいことをいっぱい授けてくれる「ウレテンシ」という天使が人間のすぐそばで、たくさん生活していたんだ。
ウレテンシはね、人間に嬉しいことをいっぱい授けて、そのとき人間がだす、愛情とか優しさとか笑顔から、パワーをもらって生きていたんだ。
ところが、そこへウレテンシと同じような姿をした「ワルマン」っていう悪魔がやって来たの。
姿こそワルマンはウレテンシに似てたけど、ウレテンシとは真逆で、人間がイヤがることばかりする、イヤな奴なんだ。
ワルマンは人間がイヤがっているときに出す、怒りとか僻み(ひがみ)とか嫉妬(しっと)とかからパワーをもらって生きているんだ。
ウレテンシたちとワルマンたちは、しばらくは人間のそばで、一緒に生活してたんだけど、真逆の性格をもっていたから、すぐにケンカしちゃったの。
戦いが好きなワルマンたちはすごく強いから、戦うことが苦手なウレテンシたちは、あっという間に負けちゃったんだ。
勝ったワルマンは、人間のそばにはオレたちが住む、と言って、ウレテンシたちを追い出しちゃったんだ。
先に住んでいたのはウレテンシたちなのに、ヒドイ話しだよね。
住んでいたところを追い出されちゃったウレテンシたちは、天国にのぼってね、神さまに会いに行ったの。
そして、神さまに、ワルマンたちに追い出されてしまったことを伝えて、人間のそばに戻して欲しいって頼んだんだ。
そしたら神さまがね、こう言ったんだよ。
「ウレテンシ、おまえたちの言い分は良く分かった。ただなぁ、おまえたちが人間のそばに戻るのは、ちょっと難しいかもしれないな」
人間のそばに帰れないと聞いて、ウレテンシたちはおどろいた。
なかには泣き出すウレテンシもいたんだよ。
たくさんのウレテンシが「なぜなのですか?」
と神さまにたずねるとね、
「人間たちの多くはな、ワルマンの好物の、『怒り』とか『僻み』とか『嫉妬』が大好きなんじゃ」
神さまの答えに、ウレテンシはまたビックリしたんだよ。
だって人間たちは、ワルマンの好物が好きなんでしょ、それって、ワルマンたちの方が好きってことじゃない?
ウレテンシは頭が混乱しちゃったよ。
神さまは続けてこう言ったよ。
「でもな、中には、おまえたちウレテンシの好物の『愛情』や『優しさ』や『笑顔』が大好きなものもいる。その人間に、嬉しいことを授けるために、おまえたちが人間のそばに行くことは必要だな」
ウレテンシたちは大きく頷きながら、神さまの話を聴いたよ。
「だが、人間のそばにはワルマンが居座って、人間が発する怒りやら僻みやら嫉妬やらを吸収して、どんどん力を蓄えている。おまえたちが一緒にいても、すぐに虐められて、わたしのところに逃げるしかなくなるだろう」
神さまの話を聴いていたウレテンシたちは、どんどん悲しい表情になっていったんだ。
このまま、ワルマンに邪魔されて、私たちは人間に嬉しいことを授けてあげられないの?
そう考えたウレテンシたちを、神さまは見捨てなかったよ。
「そこでじゃ、これからはおまえたちは、ここに住むがよい」
ウレテンシたちの表情が少し明るくなった。
神さまは続けます。
「ここから人間たちをながめて、愛情を持っている人間、優しさを持っている人間、笑顔を絶やさない人間を観察して、それらを持っている人間のところに、みんなで行って、嬉しいことを人間に授けて、ワルマンに見つかる前に、ここへ戻ってくるといいだろう」
ウレテンシたちは大きく頷き喜んだよ。
拍手をするもの、両手を上げるもの、となりどうしだきあうもの、その表情には満面の笑みが浮かんでいた。
こうして、ウレテンシたちは、遠くの空から、私たち人間を観察するようになったんだ。
人間のそばにはワルマンばかりがいるようになり、イヤなことばかりするようになったの。
でも、たまに、ウレテンシが遠くの空からやって来て、嬉しいことを授けてくれるんだよ。
嬉しいことが、たまにしかないのはそのためだよ。
ウレテンシは好物の、愛情や優しさ、笑顔をたくさん持っている人のところへ、集まってくるんだよ。
だから、ウレテンシが来るように、みんなも準備しておこうね。
おしまい
━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<ちょこっとHappy♪>
今回のもとのお話はコチラ
福娘童話集『 (うれしい事)と(嫌な事)たち 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/03/02.htm
なんか、嬉しいことがないな~、と思っているときに、読んでもらえたら、との思い出つくりました。
「あの人嫌い」「なんだあの人は」なんて思っているとき、って、どんどんムカついてくるとは思いませんか?
これって、ムカつく原因を作っているのは、嫌なあの人じゃなくて、自分の脳みそなんでよね。
だって、嫌いなあの人が目の前にいなくたって、思い出すだけでムカつくものね。
嫌いなあの人が、目の前にいないのなら、もう思い出さない。
思い出しても、笑顔になっちゃう。
そうやって、笑顔を絶やさないでいると、不思議なことに、嬉しいことがやってきますよ。
今日のHappy♪ポイント
『とにかく、笑顔、いつでも、笑顔、バカみたいに、笑顔』
ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/
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