なぜ和紙漉きに絆創膏が!?── 埼玉県比企郡で和紙職人として働く若林さん
昭和27年の創業以来、「絆創膏を通じて、多くの人の”働く”を支えたい」という想いで、絆創膏ひとすじにやってきた『ニッコーバン』の日廣薬品。
私たちは、どんな人の”働く”を支えているのか? それを知るために、日廣薬品の公式noteでは、お客様の声を聞かせていただく『ニッコーバンをわたしが使う理由』を連載しています。今回は初の番外編『シロバンをわたしが使う理由』を掲載します。
今回のお客様は、和紙職人として働く若林さん。
私たちが若林さんを知るきっかけは、シロバンの取扱店を教えてほしいという1本のお問合せのお電話でした。
シロバンがお仕事道具としてお役にたっている!今回のお問い合わせの中で私たちはシロバンの想像もしなかった活用方法に大変驚かされました。
「シロバンが一番使い勝手がよい」と語る若林さん。和紙職人として働く若林さんにとって、シロバンはどういう存在なのか?詳しくお話を聞いてみました!
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シロバンは大切な紙漉きの一翼を担ってます!
ーー 本日はどうぞよろしくお願いします!
長年ご愛顧いただき本当にありがとうございます。
シロバンは絆創膏という衛生品です。紙漉きという異業種でご使用
されているとお聞きしまして、どのようなきっかけでご縁がつなが
ったのか、大変気になっております。
若林さん:
私は埼玉県にある【小川町和紙体験学習センター】に所属している和紙職人です。和紙と一言にいっても様々で、現在私たちが作っている小川和紙は大きく分けて【手漉き和紙(細川紙及び楮紙)】と【溜め漉き(局紙)】の2種類です。製造比率としては、賞状などに使われる【溜め漉き(局紙)】が多く、主に卒業証書用に通年で製造をしています。
-- 和紙と言えば、日本の伝統的な文化ですよね!
若林さん:
そうなんです。
小川和紙は世界に日本が誇る技術だと思っております。
実際、昭和53年には【国の重要無形文化財】に認定され、平成26年にユネスコ無形文化財遺産の保護に関する条例に基づく「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に「和紙:日本の手漉き和紙技術」として【細川紙・石州半紙・本美濃紙】の3種類が記載され世界的にも認められたのです。
-- 小川和紙はどのような歴史があるのですか?
若林さん:
小川和紙の起源は古く8世紀の頃と伝えられ「正倉院文書」の『図所寮解(774年)』などの文献にも登場しています。また小川和紙を代表する細川紙は、埼玉県小川町と東秩父村で代々大事に継承されてきた伝統的な和紙で国産の楮(こうぞ)を原料として、伝統的な方法と用具で作られます。楮の内側にある強靭な長い繊維を流し漉きすることで繊維同士が絡み合い丈夫な紙となりますので、耐久性と存在感のある風合いが特徴と言えるでしょう。
-- 歴史のある小川和紙の現場で、シロバンはどのようにお役にたって
いるのでしょうか?
若林さん:
大変イレギュラーな使い方だと思うのですが、卒業証書の【透かし柄をいれる作業】に使用しております。先程申し上げましたように、溜め漉きという技法で卒業証書を作成しているのですが、学校ごとに透かし柄が異なります。そのため1校ごとに型紙が必要になりますので、その型紙としてシロバンを使用しています。
-- 意外な使い道をされているのですね!私自身、初めてお聞きする使
い方です。
若林さん:
様々な材料で試し、絆創膏に決めた後も複数の種類で試した結果、このシロバンに辿り着いたと聞いております。
-- それはどれくらい前のお話ですか?
若林さん:
この場所は今は体験学習センターとなっておりますが、平成11年に小川町に移管されるまでは、和紙の研究施設として埼玉県の建物でした。その研究施設の時代に選定したと聞いております。
ですから、約50年近くシロバンを型紙に使用していると思います。
-- 50年ですか!弊社の製品を長きにわたりご愛顧いただきまして本
当にありがとうございます。半世紀を経て、直接感謝をお伝えする
ことができました。
若林さん:
実は、埼玉県の県立高校の約80%の卒業証書にこの透かし柄入りの和紙が使われています。1校あたり平均で200~300枚、和紙を漉くのですが、型紙も溜め漉きの【舟】と呼ばれる大きな容器の中に何度も繰り返しつかるので、水に強くないと剥がれてしまいます。このシロバンだと、水に強くて作業中に剥がれることがありませんので助かっています。
ーー 皆様のお役にたてておりますことを何より嬉しく思います。そし
て、卒業証書という子供たちの一生の記念になるものに、間接的に
でもお役にたてておりますことを大変光栄に思います。
若林さん:
持ちがよい証拠に、金簾(かなず)から剥がさないと5年位はシロバンの型紙は繰り返し使用できるくらいの耐久性があり、大変丈夫なので助かっています。
-- それは驚きました。実際にご使用いただいているからこそのご感想
ですね。
若林さん:
途中で剥がれてしまうと作業が滞ってしまい本当に困るんです。
以前入手ができず、一時的に他社のばんそうこうを使った事もありましたが
途中で剥がれてきてしまい、やっぱりいつものシロバンでないとだめだと感じました。
-- 繊細な技術だけでなく、長時間の中腰や、素手で行う和紙漉きな
ど、厳しい環境下の作業で体力も使う大変なお仕事だと思いま
すが、このように素晴らしい技術が後世に引き継がれていきます
よう心より願っております。
若林さん:
ここで作る卒業証書は、私たちが時間をかけ心を込めて1枚1枚丁寧に作っています。ですから証書が完成するまでの見えない技術もこめて子供たちにお届けしてるつもりです。
-- この卒業証書にどのような技術がこめられているのですか?
一人一人特長のある紙漉き!
若林さん:
和紙漉きは1人1人職人たちが手作業で行います。日々変化する気温や湿度も仕上がりに影響してきます。それらが職人の腕の見せ所で、長年の経験を活かし水分量を調整しています。
また、圧搾という水の絞り具合でも紙の仕上がりが変わって来ます。
一つ一つの作業に慎重さを求められますし、経験と勘が必要です。
-- よりよい製品を作るために、日々精進されているのですね!
本日のインタビューを通じて、職人気質な皆さんの心意気がひしひ
しと伝わってきました。
若林さん:
近年は純粋な日本家屋も少なくなり、和紙の使用量が減っています。それに伴い様々な弊害があり、例えば原材料の1つであるトロロアオイも調達が困難になっています。この技術を後世に残すためにも、体験学習センターを通じて、皆さんに改めて和紙の良さを再発見してもらえたら嬉しいです。
-- 地元の方もこちらに体験にいらっしゃるのですか?
若林さん:
はい。地元のお子さんたちは社会科見学の一環で毎年体験にやってきます。中には生徒さんが自分で漉いた和紙を卒業証書にしている学校もあります。
これらの経験を通じて和紙への関心が高まってくれたら嬉しいです。
-- 自分で卒業証書を漉くなんて、子供たちにとって素敵な思い出にな
りますね!
シロバンがなくなったら困ります!
若林さん:
今回シロバンを買うにあたり、いつものお店で取り寄せが出来なくて焦りました。そこで、メーカーさんに直接聞いてみようとなり問合せをしました。
このシロバンが無くなったら透かし柄が出来なくなるので、無くなったら本当に困ります。ずっと作り続けてほしいと思っています。
ーー ありがとうございます。シロバンは私共にとりましても創業当時か
ら製造している大切な商品の一つです。これからもご期待に応える
べく作り続けてまいります。
若林さん:
ぜひ今度は和紙漉き体験にもきてください。お待ちしております。
-- はい。ぜひプライベートで伺います。偶然のご縁でこのような素敵
な出会いに恵まれ幸せです。本日は貴重なお時間を本当にありがと
うございました!
取材協力:小川町和紙体験学習センター
埼玉県比企郡小川町小川226
TEL:0493-72-7262
営業時間:9時~16時
休館日:火曜日
編集:日廣薬品 企画部
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