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中長期目線で「ありたいまちの未来」を実現するPYNTの「FUTURE COLLECTIVES」とは?

吉備 友理恵
日建設計 イノベーションデザインセンター
柄澤 薫冬
日建設計総合研究所 都市部門

「まちの未来に新しい選択肢をつくる」共創プラットフォーム:PYNT

PYNT(ピント)は、「さまざまな専門性や課題意識をもつゲスト」と「建築や都市の専門家」をつなぎ、まちの未来に新しい選択肢をつくる“共創の場”。 まちと暮らしを自分たちで良くしていくための新たなアイデアや仕組みを生み出します。

PYNTが掲げる「ありたいまちの未来」:FUTURE COLLECTIVES

PYNTでは、ムーブメントを起こすため、3年・5年・10年と長期での、組織・セクターを横断した連帯が必要だと考えています。PYNTでは「ありたいまちの未来」を共有するCOLLECTIVE(共同体)に基づくアクションを提案します。
これらCOLLECTIVEのあり方については、PYNTが始動してから約1年半での議論や実践を踏まえながら、私たちもまさに今手づくりで考えているところですので、是非皆さまと一緒に考えていきたいと思っております。
建物や空間、都市に向き合ってきた日建設計での経験・実践を踏また上で、日建設計社員が直面している「1社だけでは解決できない課題」をもとにPYNTで議論が進んでいる事柄について、2軸4象限に整理しマッピングをしてみました。これはあくまで今ある事柄によるアイデアです。各事柄は綺麗に4象限に分類されるものではなく、また、変わりゆくものと考えています。
これらを総括してPYNTの「FUTURE COLLECTIVES」とよび、今現在は次の4つのテーマをイメージしながら活動を推進しています。

4つの「ありたいまちの未来」のテーマ

① INCLUCIVE(あらゆる人が共生し、誰もが自分らしく暮らせるまち)
② VIBRANT(ワクワクや楽しさが詰まった活気あふれるまち)
③ REGENERATIVE(リスクに備え、直面する課題に柔軟に対応するまち)
④ RESILIENT(自然環境に優しく、持続可能な暮らしを実現するまち)

図1


FUTURE COLLECTIVESの具体例

1.地域の移動×インフラの老朽化 #RESIRIENT #INCLUSIVE

どうすれば、地域の移動やインフラの課題を自分ごとにし、暮らしをリデザインすることができるか?

「Community Drive プロジェクト」は一般社団法人SMARTふくしラボと株式会社図解総研と取り組む富山県黒部市での共創プロジェクト。地域の移動やインフラの課題が深刻化する一方で、技術ドリブンの解決策では“今多少我慢してもなんとかなっている”地域には根付かない。そんな中、ソリューションを最初から決めて持ち込むのではなく、地域にある移動の需要と余剰リソースを可視化し、産官学民の対話から解決策を共創するプロジェクトを行っている。移動と幸福は相関性があり、人を支えることは幸福につながる。”コミュニティドライブ”はそんな幸せの相乗効果と地域の仕事の選択肢を増やし、生活の選択肢も増やすというビジョンを持ち一歩ずつ進めている。

写真1
図2


2.公共空間×子育て環境のケア #INCLUSIVE #VIBRANT

どうすれば、ポジティブな子育て環境を地域・社会につくり出せるか?

アサヒ飲料(株)との共創プロジェクト。「カルピス」が持つ情緒的価値を社会的価値に変換し、子育て世帯が直面する仕事と育児の両立という課題に対して、子育てをポジティブに捉えられる環境づくりを目指す。子どもの成長を象徴する公共空間である公園を中心に据え、地域全体で子育てを支えることができるサービス案を検討。渋谷区立北谷公園におけるPoC実施や専門家へのヒアリングを通して、初期仮説の評価および更なる可能性検討を進行中。

図3
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3.地域経営×地域固有の課題 #REGENERATIVE #VIBRANT

どうすれば、地域は固有の背景と向き合いながら自治力を回復できるか?

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地方は課題先進地と言われている。人口減少等の共通の課題に加え、自然や産業・観光等地域固有の課題が山積している一方、国からの補助も漸減する中で、地域自らの主体的な持続可能性が問われる。
日建グループでは「地方創生サロン」として、建築・都市の専門的知見と各々のプライベートリソースを掛け合わせることにより、意志を持って地域と関わる社員をサポートすることを通じて地域と共創する仕組みをつくり、地域自らの“自治力”を高めていく一助となれるよう取り組んでいる。昨年度のトピックとして、歴史まちづくりや復興・気候変動とまちの向き合い方、地域との新たな対話を考えるWSのデザイン等が挙がっている。


4.メンタルヘルス×都市課題 #INCLUSIVE #RESIRIENT

どうすれば、都市・東京におけるメンタルヘルス課題を解決するソリューションや仕組み、まちのデザインを生み出すことができるか?

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図4

都市・東京における大きな社会課題であるメンタルヘルスを個人の課題ではなく、社会全体の課題として捉えるため、メンタルヘルスに悩む当事者やケアに当たる専門家とともにシステムマップとして可視化。そのシステムを変革するために、メンタルヘルス・都市・AI・デザイン・事業の専門家など様々な立場の有志でPYNTに集い、システムマップを眺めながら、解決策のアイディエーションを行った。メンタルヘルスを考慮した空間デザイン、容積緩和などの仕組み、組織におけるピアサポートの仕組み等の様々な具体プロジェクトを検討中。

社会環境デザインの視点でPYNTの共創アプローチ

そんなFUTURE COLLECTIVESの活動を支えているPYNTの共創型の社会環境デザインのアプローチとはどのようなものでしょうか? 

PYNTでは以下のようなことを大事にしています。

  • 社会課題をシステムズアプローチ(*1)で捉え、課題それ自体の裏側にある「課題のシステム構造」を、関係者が集って対話しながら捉えることを出発点とする。

  • ありたい未来像(ビジョン)を共に描き、現在のシステムをどのように変化させればよいか、その「システムの変革方法」を関係者で考える。

  • 課題とその方法は、新しい見立てを提起しながら、クリエイティブに解決できる「リフレーミング(意味の再形成)」を関係者で共有する。

  • 解決策を確実に社会に広め変化が起こるまでを伴走するために、小さな実践から、持続可能な事業、個別のデザイン、そして大きなムーブメントを起こすプロセスまでを関係者が共に議論しながら「実装」する。

(*1)システムズアプローチ:問題の対象をシステムと捉えて、その問題に対してシステム的な方策によって解決する手法のこと。部分ではなく全体を、要素だけでなくその繋がりや関係性を重視した問題解決手法。

参考:https://resilient-medical.com/medical-safety/systems-approach

わかりやすくPYNTがやることとやらないことで言うならば以下のようになります。

表1

PYNTの目指すありたいまちの未来の方向性や、具体的な取り組み、社会環境デザインの視点を活かした共創プロセスについてご紹介しました。
興味を持ってくださったかたは、ぜひお近くの日建設計社員にお声がけください!

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【現在絶賛エントリー募集中!】

①地域の社会起業家との共創プログラム「FUTURE LENS」について
▼プレスリリースはこちら
https://www.nikken.co.jp/ja/news/press_release/2024_11_18.html?cat=PRESS%20RELEASE&archive=ALL
▼「FUTURE LENS」に対する想いを語った、ゼブラアンドカンパニー阿座上陽平氏×日建設計代表取締役大松敦×PYNT吉備友理恵の対談noteはこちら
https://note.com/nikken/n/ne9b086872123

②PYNTで働きませんか?
▼「PYNT」の活動を紹介したWork for GOOD記事へのリンクはこちら
https://www.workforgood.jp/job.../120/r/rec1kFvaHbU0OwINX
▼人材募集はこちら
https://hrmos.co/pages/nikkensekkei/jobs/1801
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吉備 友理恵
日建設計 イノベーションデザインセンター
1993年大阪府生まれ。東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。2017年4月、日建設計NAD室(Nikken Activity Design Lab)入社後、一般社団法人Future Center Alliance Japanへの出向を経て、社内外のコラボレーションをデザインするイノベーションデザインセンターで活動。共創を概念ではなく誰もが取り組めるものにするためのツール「パーパスモデル」を考案し、書籍化。2023年より、本社内の共創の場PYNT(ピント)の企画・運営も担う。

柄澤 薫冬
日建設計 都市・社会基盤部門 都市開発グループ現在グループ会社である日建設計総合研究所に出向中
2016年東京大学大学院都市工学専攻修了、株式会社 日建設計入社。都市開発部、再開発計画部、パブリックアセットラボを経て、2022年より日建設計総合研究所へ出向中。都心複合開発(車両基地の跡地活用や駅前再開発)や都市開発に関わる制度設計などの都市計画コンサル業務、P-PFI・指定管理等の官民連携、歴史まちづくり等に携わる。プライベートでは2018年に文京区に築古ビルを購入しリノベーション。地域に暮らしながら「ブランと集まるまちのかど bunkyoblanc」を営んでいる。

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