クレーム対応① 教育者のマインドセット改革 #3
教師にとって、保護者からのクレームは、大きなストレス要因の一つ。
その対応により、精神的に削られ、教師を辞めてしまう方もいるほど。
きっとどんな教師でも「理不尽だ」と感じるクレームの一つや二つは受けたことがあるのではないだろうか。
クレーム対応はたくさんの事例があるので「クレーム対応シリーズ」として取り扱っていく。
今回は実際にあった「宿題についてのクレーム」の事例をもとに、一緒に考えていきましょう。(※宿題を出す、出さない問題は置いといてネ♪笑)
クレーム対応「宿題の多さについて」
1、状況
宿題について、低学年の保護者からのクレーム。
内容は、「なぜ作文の宿題を平日に出すのか。というか出すな」とのこと。
この学年は、一貫して作文を通してつけたい力があるため、4クラスとも共通して作文の宿題を出している。
その保護者のお子さんは、忘れ物が多いでもなく、学習にしんどさを感じているわけでもなさそうである。
2、普通だったらどうなるか
「えぇ…… そんなこと言われても学年で決まってるし……」(ドキドキ)
「いや、平日とか休日とか関係なく宿題は出しますよ」(イラッ)
「出すか出さないかは、やるかやらないかは子どもに任せてくれていたらいいのに」(チッ)
「めんどくさいなぁ」(イライラ)
「じゃあその子だけ変えろって? その子のために他も全部変えろって? 冗談じゃないよ……」(イライラ)
3、最強無敵のマインドセットだったらどうなるか
「平日に作文の宿題なんていっぱいいっぱいになります!減らしてください!」
なるほど。
いっぱいいっぱいになっているのは、子どもではなくお家の方のほうかもしれないな……。
「いつも宿題を丁寧に見てくださっているんですね。宿題を見るのって、大変ですよね。いつも本当にありがとうございます」
「やるか、やらないかは子どもが決めたらいいですし、文章が整っていなくても、こちらで添削しますから安心してください。そのまま提出してもらって大丈夫です。完璧な文を書いて出さないといけないってわけじゃないですから。子どもに任せてみていただけませんか」
4、どんなマインドが関わっているか
1、それぞれが、それぞれにしか分からない地獄を生きている。
2、不完全でいい、ありのままでいい。
3、自分を愛する者が、他人を愛せる。
まず保護者目線になることが大切だ。
保護者の中には、自分の子どものしていることがそのまま自分の評価につながると感じてしまう人もいる。
「宿題をきちんとしていなければならない」
「文章をきちんと書かせなければならない」
特に、自分と子どもの境界がはっきりしていない「母子同一化」現象がおきている時や、親自身が他人にどうみられるかに重きを置いている場合に大きく現れる。
子どもへの評価が、そのまま自分に対する評価になると感じてしまうのである。
「宿題をきちんとさせていないということは、自分に教育力がないと言っているようなものだ」と感じてしまう場合も少なくない。
真面目な人ほど、そう感じて苦しんでしまう。
そんな人たちは、他人の評価を気にすることが重要だと信じ込まされてきたのだ。
そんな経験を積んできたのだ。
どんなことも、きちんとさせなければならない。
それはとても良いことなのだろう。
しかし、そのような思いを抱く人は、きちんとできない自分を許せない。
そしてそれは、自分だけでなく、子どもにも、家族にも、他人にも当てはめるようになる。
また、「許せないと感じているのに、どうにもできない」というような自分でコントロールできない状況に陥ったときに大きなストレスを感じてしまう。
「平日は仕事や家事で忙しいのに、よりによって作文の宿題!? 見る時間も遅くなるし、手間もかかる! ……もう!」
このように、何かをコントロールしたいときに出やすい感情は「怒り」である。
その結果が、「元凶となっている作文をなくせ」というクレームという形になって表れたわけである。
「子どもをコントロールしなければならない」ときに、怒りをふるうことが当たり前になっている人というのは、多くの場合、自分も怒りでコントロールされてきた人だ。
与えられたものを与えるようになるのが人間だからである。
このようなクレームがきたときに、こちらがまずするとよいことは、相手の話を聞くことと、頑張りを労うこと。
その苦労を受け入れ、知ろうとすること。
そして、「誰しも不完全だから、安心してください。大丈夫。私はあなたを受け入れる」とありのままを受け入れること。
宿題についてどうしていくかという建設的な話し合いが始まるのは、そこからである。
怒りに対して、こちらも怒りで返せば、さらにコントロールしようとお互いに怒りを強めてぶつかる。
相手の壁がなくなったときはじめてこれからどうしたいか、何を望むかなどの話し合いができるようになる。
5、まとめ
クレーム対応の基本は、相手を受け止め、理解しようとすることである。
しかし、こちらに余裕がなければそれは難しい。
ついつい反抗的な気持ちが出てきてしまうものだ。
それは私達にも同様に、相手をコントロールしたいという欲求があるからである。
だからこそ、怒りを向けられると、コントロールされまいと抵抗してこちらも怒りで応戦してしまうことになる。
1、それぞれが、それぞれにしか分からない地獄を生きている。
2、不完全でいい、ありのままでいい。
3、自分を愛する者が、他人を愛せる。
どんな自分も愛している人は、相手を受け入れる余裕をもっている。
クレームを入れてくる保護者に対しても、「あぁ、きっとしんどいんだろうなぁ。そういうときだってあるよ」と受け入れる余裕があるのだ。
いつだって起点は自分である。
自分のありのままを許し、不完全な自分を受け止めている人は、相手の不完全さも受け入れることができる。
怒りをぶつけられたとしても、その相手に「怒りたいんだね。そうしないといけなかったんだね」と慈愛の心を向けることができます。
受け入れた後に、腹を割って話ができるようになるものです。
クレーム対応の話なのに、結局は「どんな自分も愛すること」に着地してしまいました。
結局、自分を愛で満たすことが、人間関係において一番大事なんですね。
クレームを入れてきた相手に慈愛の心を向けることができるようになったら、もう怖くはありません。
そのためにも、「どんな自分も愛すること」から始めていきましょうね。
教育者のマインドセット改革 #3、これにて終了!
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