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一つ一つに物語あり
人は一つの事柄やモノに潜んでいる物語が好きです。
漠然と観たり聞いたりするより、それにかかわった人や歴史を知ることで
それに生命が宿り神秘さも相まって惹かれることになります。
旅行先の山奥のお寺。只々その自然に溶け込んで深い歴史がその寺を守ってきたのだということが分かります。
そこにご住職のお話。聞いたことのある歴史上の人物やストーリーが加わると親しみやすさが倍増します。もっと知りたいと気持ちが生まれます。
また人にも歴史あり。
その人が歩んできた道に咲いた物語はなにびとをも感動させる力があります。
作られたものではなくその時は本人さえも知らなかったシナリオは幾つもの時を経て美しい一冊の本になります。
それは人に感動をもたらしたり、親近感を持つようになったりと様々ですが、その中身は成功例だけでは惹きつけることが出来ないようです。
ハリウッド映画のヒット作は主人公の半生を描くとき、必ずと言っていいほどどん底の人生を用意しています。最初はそんな辛い世界が待っていようとは想像もつかないハッピーな日常から始まりそして突然に奈落の底。
そこから這い上がるドラマが人を感動させるという内容が多くあります。
人は嫉妬深いもの。あこがれは反感を買う材料にもなり共感は得られないようです。
人の不幸は蜜の味と聞いたことがありました。
優しい言葉とは裏腹に少しでも自分より辛い思いをしている人にこんな人もいたんだと同情し、自分の立場をその人よりはましと安心材料にしようとします。
人間とは弱いもので集団の中なら真ん中あたりに居ようとします。リスクをしょわない道を選びがちですが、そんな思いを裏切る人生が誰しも待っています。
反対にひどかった自分の半生を話すことで共感を得ることもあります。
あなたがそんな大変な経験をしていたとは信じられない!とか苦労と言う言葉が似合わない!とよく言われますが私もいっぱしの波乱の年月がありました。不思議なことにそれを今はいい思い出として大切にしまっている自分がいます。少しはそれをエネルギーに変えるすべを学んだのかもしれません。
それは聞かれもしない苦労話を延々の話すのではなく、もうとっくに過ぎ去った過去の一つ。その端切れのいろんな色や柄を大切にしまっているだけですが私のちいさな自信となったのは確かです。
あの時があったから今があると言えることは私の人生の宝物。
そんなことにふと思いをはせることがあります。
オリンピックの開会式。晴れやかなセーヌ川でのパレードを観ながら
幾重にも重なっていく歴史の一部と今が織り交ざってまた何年後かには
それが自然となりうるのでしょう。
今日もいい日にしましょう!