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ジェットコースター人生 その2

当時私は北回りヨーロッパ線に乗務していました。

1週間~半月の乗務日程です。まずはアラスカのアンカレッジ。

そこからオランダ、フランス、ドイツ、イギリスへ向かうのですが、最初の着陸地で2日ほど、また次の地で3日とその都市に滞在して、後からやってくる便に乗り込むというシステムでした。

滞在地では小旅行のようにいろんな名所を観光したり、お土産を探したりと

エキサイティングな毎日でした。アムステルダムで「アンネの隠れ家」へ先輩に連れて行ってもらった時は小さすぎる部屋と、見つかるに決まっている本棚の入り口に何とも言えない辛さと侘しさを感じました。

アンネの物悲しそうな顔が浮かんで胸が痛んだのがついこないだのように思い出されます。

一か月にワンクール、間にハワイのホノルル便が入るといった

今では考えられない優雅な仕事は続きました。日本には待つ人がいる。

充実した年月でした。

そのオランダ、スキポール空港は巨大でした。新米の私は、クルーからはぐれないように後をついて行きます。

バス待ちの時間があったので、「お茶しよう」ということになり空港内のオープンカフェの小さくて高い椅子に座りました。初めてのカフェオレ。

ハンサムな男性が「ミルクはこれくらい?」とウインクして、まあカッコイイ!オランダが大好きになりました。単純!ですが好き嫌いは第一印象で決まるということです。

1時間ぐらい高速道路を走ってホテルに向かいます。まだ風車は見えません。

市街地に入ると運河の両脇にレンガ造りの建物が細長く、隣とピッタリ引っ付いているかのように連なっています。絵葉書で見た運河の街です。

運河を行く船は観光船です。船上生活の船は岸にピッタリとくっついています。

石の橋は丸くカーブを描いてかかっています。その上からぼんやりと川を見ている人もいてなんだか穏やかです。

次の日からはお休みなので、風車を見てチーズの工場に行くことになっています。

あのアンネのおうちはすぐ近くだったので、その日のうちにもう一度行くことができました。本で読んだアンネの面影にまた会えるなんて!

翌日曇り空の中、小さな村に行きました。子供もおばあちゃんも民族衣装の白くて長い帽子に刺繍が施された赤の可愛いエプロンドレスで迎えてくれました。もちろん木靴です。今ならクロックスになっているかもしれません。

この村はデルフト陶器が有名です。可愛いシュガーポットとミルク入れのセットを買いました。今でも活躍しています。この陶器のブルーは日本の伊万里焼から影響をうけたそうです。だからなのか懐かしいようななじみのある陶器です。

午後からはあの風車があちこちで風を受けて回っている村に行きました。

期待を裏切らないチューリップの絨毯です。横を流れる小川は空の青さを映していてサイクリングしている人の姿も水面にあります。

所々に大きな風車が立っています。近くに来るとその大きさに驚く四枚羽は堂々としていて逞しくもあります。

風に任せて静かに回っています。

ランチの後はロッテルダム近郊まで来ました。ゴーダの町で作られたチーズはエダムチーズと並ぶ代表的なチーズです。濃厚な香りで満腹になりながらも切り分けてサービスしてくれるのをいいことにいくらでも食べられます。

その時の様子は不思議なくらい今でもはっきりと覚えています。昨日のことより昔のことを覚えている父をからかいましたがとうとう私の番になりました。


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