家族は皆 神戸が好き
歴史的文化遺産は明治の香り漂う兵庫の迎賓館です。公館内には「楠園亭」と呼ばれる和風の建物があり賓客のおもてなし場所です。
フランス、ルネッサンス様式の品のある建物は、「HERO」で大使館として使われました。
可愛い小塔は正面玄関の左側にある守衛室、おとぎの国のお城みたいです
。
明治時代の歴史は日本にとっても大きくフランスの影響を受けています。そんな建物を見ていたら激動の荒波を生きてきた祖父母を思い出しました。
二人はともに神戸生まれで、とてもハイカラな人でした。和風の建物に住んでいましたが、居間にはたくさんのボヘミアングラスや、繊細な透かしで飾られた時計などそれを畳の上のソファーに座ってみるのが好きでした。天井の鈍い照明と障子がおとなの空間を作っていました。
触ってはダメ!と知りつつもすべての肌触りは今も覚えています。
その横で祖父のくゆらすパイプの煙、外国の香りをそーっと吸い込みました。
母に見つかれば叱られるのは分かっていましたが、あまり言葉を交わさない祖父との思い出です。私が近くにいるのは分かっていたでしょうが何も言わずに新聞を読んでいました。今のおとなのように子供に気を遣うことはありませんでしたが、私は家族が好きでした。
祖母のきりりと大島もかっこよく、テキバキと物事をかたずける姿は私の憧れで、いつまでも眺めていました。
二人とも100歳近くの大往生でした。今はその家の辺りにはタワーマンションが立ち並びすっかり様子は変わってしまいましたが、今日の散歩で市電の走る音やいびつな石畳の道路、背の低い洋館の民家が並ぶ道路が浮かびました。
たまには大きなアメ車も通って船の汽笛は頻繁で、モロゾフの大きな金髪のマダムが手招きしてチョコをくれるのが嬉しいけれど怖くて…。みんなヨソイキの格好で元町を歩いていました。なぜか大丸に行くとき祖母は私に革靴を履かせました。硬くて歩きにくいと思ったら意外と足にぴったりで快適でした。
帰ってくると大きな秋田犬「フジ」が優しい顔で迎えてくれます。頭を撫でると嬉しそうに目を細めて尻尾が揺れています。最後のポンポンが「ただいま!」の合図です。「早く着替えなさーい!」という母の声が聞こえそうです。
意外と小さな時の風景は何かの拍子にひょっこりと現れるものです。
それだけ私も年を重ねたということでしょうか?「私はココよ!」とニケが見上げます。同じように頭を撫でるとやっぱりうれしそうです。
今日もいい日にしましょう。
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