仲人の仕事 ぬるま湯
母親の小言から逃れるため?に入会したかのような男性がいます。
自分でも四十半ば、そろそろ結婚しないといけないとは思っていても自分から婚活するのは格好が悪いというかめんどくさいと思っているかのようでした。
両親は二人とも七十を超えてそろそろ楽をしたい、商売を任せたいと思っているようで、顔を合わせれば「誰かいないの?いつまで一人でいるの?」と半ば脅迫に近い物言いになるそうです。
収入も十分あって、仕事も息子がやり始めての右肩上がり。
何を任せたいということなのかよくわからないですが、結婚することで一人前と思っている昭和生まれのあるあるです。
二人で神戸にやってきて、一から商売を始めた苦労は並大抵のものではなかったそうです。
お見合いで結婚して、いわばお互い同志のようなもの。
そんな女性がいないものかと父親は商売ありきの相手探しを求めています。
母親はひとりで住んでいる息子がちゃんとご飯は食べているのか?
話しかけるとちょっとめんどくさそうな顔をする息子が心配でしょうがない様子です。
こちらが申し込めば、すぐにお見合いの日にちが決まって、半年後にはゴールインとなるようにも思っています。
何度かお見合いして、彼が断わることもあったのですから、相手にも同じことが起こってもわかりそうなものですが、そこは親バカなのか、こんな優しくて真面目な子が…。となります。
一つ気になることは、やはり彼も昭和生まれ、父親の実直なところは確かに受け継いでいますが、でもそれだけでは、今の女性のハートを掴むことはできません。
女性にしたら、LINEなら既読だけではなく、返信が欲しいところ。
会って話せばその優しさが分からないでもないですが、それが普通になっているのはこども可愛さで、甘やかしていいようにとってしまう家族や、周りの人たちがいるからです。それではお見合いしてまだ彼のことが分からない女性には通用しません。
そんなちっとも自分から動かない彼にも忘れたころにお返事をいただきます。忘れたころと言うのは間違いで、こちらからたくさん申し込んでいても一向に返事がないので「今回もダメかなあ?」と言うあきらめが、どこかにあるからかもしれません。
それでも一向に焦らないのは「今のままでもいいやー。」と言うぬるま湯の心地よさを知ってしまったからでしょう。
でもいつもと違うアクションをする時があります。
「返事があって、会う日は○日でいい?」と聞くとちょっと晴れやかな声になります。いつもより早口になります。饒舌になります。
今回はあんなにこだわっていた五歳ほど年下の…。を聞かなかったことにして、1つ違いの方に申し込みました。二日後に受託の返事があり来週お見合いとなりました。
両親はきっと難色を示すかもしれませんが、うまくいくならそれが彼にとっての幸せだと思います。
両親に遠慮しない息子になることも大切かもしれません。
仲人は両親と息子、娘の間に立ってクッションとなればいいのかもしれません。
今日もいい日にしましょう!