一杯の珈琲から
コーヒーカップによっても珈琲の味は違うようです。
それはどんな場所で誰とお茶するかでも同じ。
珈琲はその時の様子をそっと思い出させてくれます。
毎日飲んでるのに全く別物の飲み物みたいに語り始めます。
勤務を終えてその地で2,3日滞在するのですが、その時はいつも素敵なカップがないかお店を覗きました。それがローゼンタールやロイヤルコペンハーゲンであることなど全く知らないときからです。
気に入ったらホテルで丁寧に梱包して日本まで持って帰りました。
神戸の実家に帰省の折には母へのおみやげとして父の洋もくと一緒に。
母はわたしの誕生日には新しいティーカップを一つずつ買い足しました。私にとってはそんなに嬉しいものではありませんでしたが、母にとっては大事な行事だったのかもしれません。
紅茶を入れるカップは珈琲のよりも底が浅く優雅な感じでした。
母は紅茶、父は珈琲。食べ物の好みはよく合っていましたがそこだけは譲ることがありませんでした。いつしか私もそんなカップに魅せられるようになりました。
大切に食器棚に飾られたティーカップはほとんどが大震災で粉々になりましたが、その時いくつか残った食器の一つが写真のダンクスのカップでした。
このカップでコーヒーを入れると北欧の街並みが浮かびます。
丁度季節は冬。可愛い屋根に、垣根に。そしてこんもりとした木にも雪が積もっていておとぎの国のようでした。何もかもが澄んでいて人は穏やか。
日本人を未だ見ることが少なかったのか少し田舎に行くと最初は怪訝な顔をされました。人懐っこい子供たちは私たちを囲んで「中国人?」と尋ねてきます。まだまだ極東の国は未知の国だったようです。
今や世界中の若者が日本のアニメ大好き!となって至る所で日本ブームになっているようですが、そのころは想像もできませんでした。
マーケットに行っては新鮮なオレンジやメロン。生ハムにかたいバケット、
チーズは選ぶのいつも迷いました。
それを誰かの部屋に集まってカーペンターズやアバを聞きながらトランプをしたりつまんだり、おしゃべりしたりと楽しみの一つでした。
電気コイルでお湯を沸かす小さな鍋を持ってきてラーメンを作ることもありました。
街で北欧家具や食器の店を見つけた時は嬉しくて…。そこで見つけたのがこれです。
たまにエスプレッソにシナモンパウダーを入れてこのカップでいただくとあの真っ白な景色が今でも浮かびます。
今朝は美味しい塩鮭を頂いたので和食となりましたが、三時には満開のアジサイを眺めながらゆっくりと珈琲を味わうことにします。
今日もいい日にしましょう!
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