24時間戦えますか?
1988年に一世風靡した栄養ドリンク「リゲイン」のCM.
企業戦士という言葉も流行りました。翌年には新語、流行語大賞にランクイン。その当時の日本を映し出していました。日本が元気に見えた時代です。
しかし今では残業や長時間勤務は死語になりつつあります。
猛烈に働くことが美徳とされた時代。男性はやみくもに働いて、会社の業績を上げ、残業は当たり前、家庭は二の次。子育ては母親の仕事というのが暗黙の了解でした。父親の姿がない家族がたくさんありました。
今ではリモートワークも一般的になりつつありますが、それなら「24時間戦えますか?」と問われても答えはもちろんNO!です。働き方改革以降、働き過ぎはタブー。それを強要する企業はブラックとなって企業戦士という言葉も聞かれなくなりました。
父親が家で仕事をするようになって、家族が喜んだのは半年ほど。母親も三度の食事の用意や、部屋の中に1日中いられるとなんとも息苦しい。小さな子供は走り回ると「うるさい!静かにしなさい」と叱られ萎縮しているそうです。
余裕とは余っていて豊かなことですが、使いこなせないと圧迫となり何とももったいないことです。
「亭主は元気で留守がいい」とはある時期よく言われた言葉です。
今や冷めたシニア夫婦はご主人のことを小型ATMと言い企業戦士も弱くなったものです。
無いものねだり。
忙しくて日曜日に出社もあり、たまの休みにはぐったり寝室から出てこない父親をつまらなそうにしていた子供が、今度はずーといられると窮屈になり、母親は何もかも家の用事を任されて相談にも乗ってくれなかったことを夫婦げんかの折に毎回持ち出していたのに、今や在宅になると、余計な?家事が増えたと嘆く。
どちらがいいとは言えません。その時代に生まれたことを感謝するのか、恨めしく思うかはその人次第。
バブルの時代に青春時代を送った人や働きバチであった人たちはお金に踊らされました。みんななんだか狂っていました。働いた分収入も増えました。みんな贅沢をしていいのだと変な錯覚をしました。
企業戦士も疲れ切って、栄養ドリンクに頼らざるを得ませんでした。
「黄色と黒は勇気のしるし 24時間戦えますか~?」は軍歌のようなメロデイ。阪神ファンのおじさんは大喜び。
時代は変わって「3,4時間なら働けますか?」となったようです。極端ですがそれが集中できるマックスな時間だそうです。
仕事に明け暮れた時代を経験して、引退したシニアはなんと苦しかったとは言わず猛烈な渦に巻かれていたことさえ懐かしみます。老兵は…。ではないですが彼らの横顔に企業戦士が見え隠れしたのは私だけでしょうか?
何をもっていい時代だったと言えるのか?今生きているから言える言葉かもしれません。
今日もいい日にしましょう!