子どもたちが教室にいない…。
その日は6時間目が空き時間で授業がなかったため、職員室で分掌業務をしたり、印刷室で授業準備をしたりして過ごしていました。
おっと、6時間目が終わっている時間だ。そう思って急ぎ教室に向かうと、子供たちの姿がありません。
焦る私。廊下の反対側に目をやると、そこにはランドセルの影が。
急ぎ後を追うと、それはクラスの子供たちでした。
「先生遅いよ~。みんな帰っちゃったよ!」
とニコニコ顔の子供たち。
話を聞くと、授業が終わって帰りの支度が済んでも先生が来ないから職員室を見に行ったが姿が見えなかったとのこと(印刷室にいた)。待っている間に簡単な掃除をしたり窓閉めをしたりしていたがまだ来ない。
よし、それならということで、先生の代わりに次の日の持ち物と予定を確認してさようならをしたとのことでした。
時刻を守れなかったことや下校の見届けができなかったことは担任として猛省すべき点ですが、
なんと頼もしい。
さらに、その指揮を執っていたのは、3学期の学級代表A君だったというのだから驚きです。
A君は穏やかで控えめな性格で、どちらかというと人前に立つようなタイプではありませんでした。そんなA君が3学期の学級代表に立候補したときは、学級が歓声と声援に包まれるほどでした。
私は翌日、A君にお礼を言い、そのような行動をとった理由を聞いてみました。すると、
「『3学期のクラスは任せた』って言われたから。」
A君は恥ずかしそうに、でもちょっと誇らしそうにそう答えました。
3学期の初日、係決めが終わった後にA君に投げかけた言葉を、A君はしっかり受け取ってくれていたのです。
私たち教員は、多くの時間を子供たちと過ごします。
場合によっては家族以上かもしれません。
そんな身近な大人が発する言葉は、たとえ一言であっても子供たちに大きな影響を与えます。時には将来にわたって影響を与えるものにもなります。
教員という職の大きなやりがいと、責任と、喜びに改めて気付かせてもらう一幕でした。
(その後学級では、「先生が寂しがって拗ねる」という理由で、あきらめずに先生を探す、ということになりましたが、今のところ遅刻はしていません。)
こうのすけ
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