繰り返さない〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「繰り返さない」です。
繰り返さないのが基本
読みやすい小説の基本は繰り返さないことです。
同じ単語や同じ表現が繰り返されると、読者はそこに意味があるように感じてしまいます。
ですが、実際には作者の不注意で繰り返しになっているだけで、そこに意味はないのですね。
ですから、その繰り返しはただのノイズです。
読者の集中力を乱すだけですので、極力取り除きましょう。
繰り返しがちな要素には以下のようなものがあります。
音
文末
表現
情報
展開
それぞれ簡単に見ていきます。
1.音
だいたいにおいて、読者は頭の中で音読しているものです。
同じような音の言葉が繰り返されると、韻を踏んでいるようになり、不自然に感じられます。
たとえば、
などですね。
(こんな文章は書かないでしょうが)
「ダン」という音が頻繁に出てくるので、その音に釣られてしまい、意味が頭に入ってきません。
対処法は「音読すること」です。
たいていのおかしな文章は音読すれば気づきます。
音読はプロでもやっているので、推敲のときにでもちゃんと音読し、おかしい部分は修正しましょう。
2.文末
文末もよく繰り返しになりがちです。
日本語の文末はおおざっぱに言って3つしかありません。
〜するの現在形
〜したの過去形
体言止め
どれを使うにせよ、同じ文末を繰り返すと、おかしな印象になります。
上の例では中間の二文を重文にして現在形にしましたが、基本的には1と2を適宜使い、たまに3を使う程度にするといいと思います。
これも音読すればわかりますし、見た目でも気づくでしょう。
私はついつい、する→した→する…と交互にしてしまうのですが、こういった規則性もおかしな印象を与えるのでバラけさせた方がいいです。
3.表現
表現というのは、言い回しのことです。
たとえば
「頭を下げる」という表現が繰り返されています。
(このくらいなら良いかもしれませんが)
同じ行でなくても、近くに同じ言い回しがあるなら、表現を変えましょう。
そういうときに便利なのが類語辞典です。
類語辞典はネットにもたくさんありますので、ぜひ活用してください。
有名なのはこの辺りでしょうか。↓
同じような表現の重なりには敏感になった方がいいですね。
4.情報
情報の重なりにも注意が必要です。
情報というのは物語を読む上で必要な知識や設定のことです。
同じ情報を何度も出すのは止めましょう。
読者はわりとそういった情報を覚えているものなので、何度も出すと、うんざりさせてしまいます。
基本は「一度だけ丁寧に情報を提示する」です。
わかりやすく、簡潔に、一度だけ情報を出しましょう。
念押ししたいなら、最初の情報提示が地の文なら会話文で、またはその逆と、出し方を変えるといいかもしれません。
明確な対処は難しいですが、意識としては上でも書いたとおり、
読者はわりと情報を覚えている
念押しされるとうんざりする
と読者の理解力を信用することと、
余分に情報提示しておいて、後で削る
方が楽かもしれません。
5.展開
同じような展開にも注意しましょう。
要するにワンパターンな、あるいはステレオタイプな展開ですね。
物語は「問題」と「解決」で成り立っていますので、同じような問題、同じような解決方法に気をつけるといいです。
たとえば「問題」なら、
毎回チンピラが難癖つけてくる
毎回同じ人物が問題を起こす
毎回同じ失敗をする
「解決方法」なら、
毎回誰かが助けてくれる
毎回何らかの不思議パワーで解決する
毎回力が覚醒する
などですね。
読者は同じような展開にはすぐに飽きてしまいます。
途中で読むのを止める原因にもなるので、バリエーションをつけましょう。
とはいえ、読者がワンパターンを求めている場合もありますので、すべてのワンパターンが悪いわけではありません。
ただ、その場合でもパターンの中で変化をもたせましょう。
変化させるには、「5W1Hを変える」と考えると簡単です。
読者に無意味な情報を与えない
結論として、おおまかな方針はこうです。↓
物語を読むのに必要な最小限の情報を与える
それ以外の情報は極力省く
音や表現といった文章レベルでも、情報提示や展開といった構成レベルでも、読者に無意味な情報を与えないようにしましょう。
余計な情報はノイズになり、読者の集中を妨げます。
多少の重複は構いませんが、できれば過不足なく情報を与えられるといいですね。
とはいえ、これは私も毎回しくじるところなので、えらそうには言えません。
ただ、「過不足なく書けているか」という意識で原稿をチェックすることは重要だと思います。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「繰り返さない」でした。
「繰り返さない」のが読みやすい小説のコツ
文章レベルから構成レベルまで、無用な繰り返しを避ける
物語を読むのに必要な最小限の情報を提示する
読者にとってノイズになっていないか、という意識で確認する
描写などで文章に「潤い」や「味」を与えるのは無駄な情報ではありません。
ですが、それらが毎回描かれるなら、冗長な情報になるかもしれませんね。
それではまたくまー。