ひかげのたいよう #21 “私の好きな私”
やっとの思いで前に進み始めたとは言っても、トラウマの治療は気が進まなかった。うっすら忘れかけていた重たい記憶を思い出さなければならない。せっかく光が差し込んだのに、また暗闇に逆戻りしてしまうんじゃないかという不安ばかり募る。ちょうどこの年の初めから新型コロナウィルスが流行し、更に外出が増えることになるのは億劫だった。けれど、診療所の先生が
「時間はかかっても絶対によくなっていくものだから。」
と言ってくれた言葉を信じて、先生の診療と並行して、臨床心理士とのトラウマの治療を開