日本随一の渓谷美「昇仙峡」の神秘！勉強会レポート
日本遺産普及協会では定期的に日本遺産に認定されているストーリーの知識を深め、地域の取り組みについて知るための機会として「日本遺産勉強会」を開催しています。2025年の初回となる1月の勉強会テーマは、昇仙峡一帯で産出される水晶とその歴史で構成される山梨県甲府市・甲斐市の日本遺産「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡～水晶の鼓動が導いた信仰と技、そして先進技術へ～」でした。
今回は、昇仙峡地域活性化推進協議会の金丸之三さんにお話しいただきました。その一部を要約してお届けします。
甲府市の歴史と日本遺産
まず最初に、甲府市の概要についてお話いただきました。
「甲府市は山梨県の県庁所在地であり、甲府盆地の中心部にあります。北部の山岳地帯、中央部の市街地、南部の御坂山地に分かれています。盆地沿いに古くから水晶採掘が行われていたことから、甲府市は国内トップクラスのジュエリー産地、『宝石の町』と呼ばれています」
「山梨県内では４つのストーリーが認定されています。地形の関係から、ブドウやワインに関するストーリーが複数あります。今回の勉強会は昇仙峡をテーマに紹介いたしますが、他の山梨県の認定ストーリーもぜひご興味を持っていただければと思います」
日本遺産ストーリーの概要
「山梨県の甲府市と甲斐市に跨る昇仙峡では、花崗岩の断崖や大小の滝が見られる雄大な景観が広がっています。これらの風景は金峰山周辺を源流とする荒川の浸食作用や、長い年月をかけた地殻変動などの結果もたらされたものです。昇仙峡周辺で採掘される水晶とその加工技術は、日本一のジュエリー産業の基盤となり、さらには人口水晶の生産にも影響を与え、スマートフォンの部品として活用されるなど、現代まで私たちの生活に大きく影響を及ぼしています」
構成文化財について
金櫻神社
「多くの人々の山岳信仰の拠点となった金櫻神社には、武田勝頼公が奉納したといわれる能面や手箱などがあります。また、甲斐市の常説寺には、順徳上皇が金櫻神社に奉幣するために使われた白輿が奉納されており、これは住職がいる場合にご覧いただくことができます」
御嶽古道周辺
「金峰山・金櫻神社には、当時は御嶽道（現在の御嶽古道）という険しい山道を通って参拝がされていました。この古道は構成文化財であり、その周辺では阿弥陀如来像等が伝わっています。また、この場所は江戸時代になると文豪や画家が多く訪れ、歌川広重の浮世絵の題材にもなっています。その歴史的価値を守るため、現在も地域の人々による活動が行われています」
水晶鉱山と水晶加工
「山梨県では水晶の産出が盛んに行われていました。御嶽昇仙峡周辺でも多く産出され、縄文時代の遺跡から水晶が発掘されるなど、この地域では古くから地域で水晶が利用されていたことが分かります。金櫻神社に奉納されている御神宝である５つの水晶玉も、この地域で採掘されたとされています。江戸時代に玉屋弥助により京都から水晶の加工技術が伝わったといわれています。明治時代になると、この技術は装飾品・眼鏡といった製品に利用され、水晶加工技術は本格化しました」
昇仙峡の観光産業
「観光についてもお話させていただきます。昇仙峡を訪れるなら秋はもちろんお楽しみいただけるのですが、私自身は、観光する時期として岩肌と新緑が楽しめる4月から5月をおすすめいたします。ゴールデンウィークもちょうどその時期にあるので、ぜひ旅行を計画してみてください。御嶽新道には渓谷や岩脈のほか、『石門』と呼ばれるパワースポットなど、多くの見どころがあります。」
（おまけ）レッツトライ♪
「昇仙峡」日本遺産クイズ
勉強会では、最後に昇仙峡に関する３つの日本遺産クイズが出題されました。ここではそのうちひとつを紹介します！
Q. 昇仙峡を登りつめた地に鎮座する金櫻神社。御神宝として何が奉られていますか？
１．水晶
２．ダイアモンド
３．ルビー
A. 答えは、③の水晶でした！
関連情報
「こうふはっこうマルシェ2025」
今回の勉強会で紹介された「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡～水晶の鼓動が導いた信仰と技、そして先進技術へ～」を含む山梨県内の４つの日本遺産の魅力を発信するイベントが3月に開催されます！
開催日：2025年3月1日（日）
開催場所：甲府駅北口アシストエンジニアリングよっちゃばれ広場他（山梨県甲府市）
イベント詳細はこちら↓
日本遺産検定のご案内
2025年5月16日（金）17日（土）18日（日）日本遺産検定2級・3級を実施します。
申込期限：2025年5月6日（火）
オンライン講座のご案内
オンライン講座『「なんだこれは！」 “火焔型土器”が伝える縄文時代の発酵文化に迫る！ドキドキの60分』が3月13日（木）20:00~21:00に開催されます。
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