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文法の教え方-直接教授法じゃなければ

今日は、朝から5コマ。
まあ長い人も多いので、気楽で楽しいメンバーです。
うち、仕事でこちらに来ている日本人の彼氏のために日本語を習っている人がいるだけど、年に1度は彼と日本に行き、英語の話せない家族ともコミュニケーションをとっているので、中級と言える人がいる。

本は使わずに、都度テーマを設けて取り組んでいるんだけど、今日は助詞を取り上げてみました。
終助詞や間投助詞は、ドイツにないのでそのグループ分けでいいんだけど、格助詞は、ドイツ語にこそ「格」があるんだよね。

欧州系言語は英語を除いて多分全部名詞に性別があり、その性により定冠詞が変化するし、意味によって、格も変わる。
ドイツ語は定冠詞が男性女性中性の3つに、格が4つずつあるので、表にすると12の格があることになる。(重複あり)

英語は「the」と不定冠詞「a」しかないし、格変化がないけど、代名詞で考えると分かりやすい。
I わたしは(主格)
my わたしの(所有格/属格)
me わたしを(直接目的格/対格)+ わたしに(間接目的格/与格)

英語は、meが直接と間接を両方かねているけど、ドイツ語は分かれている。
「God gave the woman the man. -神はその女にその男を与えた」
という文なら、「その女に」が間接目的語で、「その男を」が直接目的語になる。
文型でいうと、「SVOO」ってやつだね。
どっちも「O」(Object/目的語)。
英語はどっちも同じだから、この順番は変えられない。

でも、ドイツ語なら、
「Gott gab der Frau den Mann.」
で、定冠詞が違うから、どっちが「に」でどっちが「を」かが分かる。
分かるから、順番を入れ替えて
Der Frau Gott gab den Mann. -その女に、神はその男を与えた」
ということができる。
「Den Mann gab Gott der Frau. -その男を、神はその女に与えた」
ということだってできる。

つまり、英語よりはドイツ語の方が日本語に近いという言い方もできる。
英語しか話せない人より、ドイツ語が分かる人の方が、「を」と「に」の違いは納得できるはず。

だからすごくざっくり、主格は「は・が」ですよ、所有格は「の」、与格は「に」、対格は「を」ですよ、ということもできる。

(細かいところはもちろん違って、日本人がよく間違えるのは、「helfen助ける」はなんでか与格(ざっくりなら「に」)を取ることになっているけど、「私『を』助けて」だと思うと、間違えちゃうし、「anrufen電話する」も、「に」だと思って与格を取ると、今度は「を」だぜって言われちゃう。
もちろん、同様にドイツ人も間違えるけど。)

しかし、「格助詞」の中には、「<場所>で」とか「<時>に」みたいのも含まれる。
それはドイツ語でいうと、「前置詞」ってやつなんだよね。
それに倣うと、日本語は「後置詞」。
だから、格助詞グループに入れないで、「後置詞」グループだよ!って分け方のがすっきりするんじゃないかと思うんだけど・・・

また、こそあど言葉を教えるときは、ドイツ語にはないので、「あのペン」「このペン」「そのペン」は、全部「Der Stift」になっちゃうけど、アジア系言語はそれなりに似たような言葉があるらしいから、「ああ!」って思ってくれる。

私たちが英語を習い始めるときに、定冠詞不定冠詞ってなんだよ!と思うけど、英語の下敷きがあれば、欧州系言語を習うときは、ああ英語の「the」ね、で終わる。

そういうふうに、現地語や学習者の母語に合わせて説明ができる方が、初級のうちは断然楽だと思う。
全ての文法を置き換えることはできないから、ある程度くると日本語文法として理解せざると得ないけどね。

日本語を基準にしたグルーピングじゃなくて、ドイツ語を基準にした文法書(なんて大袈裟なものじゃないけど!)を作りたいなあと思いました。

それにしても私は今、ドイツでドイツ語でしか日本語を教えていないので、直接法で教えるイメージがない!
(ドイツに来てからは、ドイツ語を直接教授法で習ったけど、もう一応基礎はあったから・・・)
春から無事に大学で履修できるようになるなら、その辺をすごく意識して、勉強していきたいと思う。

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