見出し画像

外国語視点での「~てもいい/~てはいけない」

外国語視点から日本語の文型を考える勉強会、第2回を行いました!

今回は6名参加で、中国語、フランス語、ポルトガル語、ドイツ語の観点から「Vてもいい/Vてはいけない」を確認しました。

ダイジェストでまとめると、今回の言語では英語のように、助動詞に類する言葉と動詞の原形を伴なって、許可を表すことが分かりました。
日本語学習者がこのテーマでひっかかるとすると、「て形」の作り方/覚え方なのではないでしょうか。


■プラスα■
★フランス語
「~てもいい」英語のcanに相当する助動詞を使用。
「~てはいけない」その語を否定する。
別にルール上禁止、義務という言い方もあるが、きつい表現になるため、
無生物主語(英語のit)を用いたり(あなたダメ!ではなく、その事項がダメのような)、迂回表現を用いて、柔らかく表現するそうです。
日本的ですね!

★中国語
禁止の程度で言葉が変わり、否定を表す言葉も多様。
例えば「いいですか?/可以?」の答えは、「不要」で「ダメです」。
不要は文字通り、「要らない」という意味もあるようですが、「不可」の意味もあるようです!
下手に日本語にある言葉の使い方なので、難しいですね。
その他、「不行」で「いけない/ダメ」という言い方も。

★ポルトガル語
英語のcanに相当する「poder」と動詞原形の組み合わせの他、英語でいうBE動詞と組み合わせて状態を表し、「permitido」(許可された)+動詞、「probido」(禁止された)+動詞となるそうです。

★ドイツ語
基本的には英語のmayに当たる「dürfen」を使います。
ただ、状況によってはcanに相当する「können」も用います。
英語もmayは仰々しい感じなので、段々canになってきたと聞いたことがありますが、それに比べればまだドイツ語はmayに当たる方を日常的にも使います。
例えば「これ食べていい?」「いいよ/ダメ」などです。

また、英語のGoに相当する語を通常「いける」の意味にも使います。
(Wie geht es?/逐語訳だとHow-go-itでお元気ですか?)
「これ、できなーい!」というときも「Es geht nicht!(it-go-not)」ので、「いけない」の表現はスムーズに認識してもらえます。


日本語を教える前は「動詞のて形」なんて聞いたこともありませんでした。
学校文法には登場しない言い方です。
五段活用のどこにも「て形」なんて出てこないのです。

では、何というかというと、国語教科書では「連用形」となっています。
連用形は日本語文法では「ます形」とも呼ばれる、上から2つ目のやつ!
日本語文法では「ます形」「て形」と分けるのを学校文法では「連用形」として一括りなのです!

例えば、「飲む」なら、語幹が「の」で、連用形が「み」です。
(懐かしい人に! 未然形の「ま」ない、連用形の「み」ます、終止形の「む」、連体形の「む」とき、仮定形の「め」ば、命令形の「め」!、「ま-み-む-む-め-め」)

光村図書 国語1

その上で、1年の教科書の付録ではこの表しかありません。
2年になって、「音便」という言葉が登場し、「イ音便」(く・ぐで終わる動詞)、「促音便」(う・つ・るで終わる動詞)、「撥音便」(む・ぶ・ぬで終わる動詞)と簡単に説明と例があるだけです。
ちなみに「て形」学習なら、上の3つの音便に「す-して」(話す-話して)と例外の「行く-行って」も入ります。

日本語学習の「て形」の誤りで多いのが、この音便化をしていないものです。
「今朝、コーヒーを飲みて、友だちにメールを書きて、大学に行きて、日本語を勉強しました。」など。
最後が「勉強しにけり」とかじゃないのが変な感じなくらい、古語調に聞えます!
そう、つまり昔は音便化していなかったわけです。
日本語学習者のために、タイムマシンで過去に戻って、音便化を止めたい!

もちろん、口語的に連音変化というのは世界中のどこの言葉でも見られるでしょう。
ドイツ語で先に挙げた例の「お元気ですか」「Wie geht es(ヴィー ゲート エス)」も、「Wie geht's(ヴィー ゲーツ)」になります。
でも、日本語の「て形」の変化は複雑すぎです・・・

「て形」は、今回取り上げた許可表現の他にも、今例に挙げた動作の列挙、依頼表現(食べてください)などにも使います。
初級では重要なポイントなので、まあ、せめてそれと紐づく外国語が複雑じゃくてよかったと思います・・・

今回の勉強会では、教育実習や短期語学留学の話も出て、また楽しく有意義な時間を過ごせました。
次回も楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?