春 父の手紙と向き合って
4月になりました。ここ神奈川県川崎市にある日本理化学の川崎工場の前の桜も例年より少し遅い開花となりましたが、ここを歩くと全身に春を感じることができ、とてもすがすがしい4月の始まりになりました。
さて、川崎工場では4月1日に、3人の新入社員とご縁がありました。
一人は支援学校在学中に3度の実習を経て、晴れて入社となった18歳です。
緊張します、と言いながらもはきはきと話す姿、先輩の話をよく聞いて一生懸命に仕事に取り組む姿に、私たちが元気をもらっています。
今日は1年の始まりに、皆さんへのメッセージになるかどうか、私の思いを発信したいと思います。
父からの手紙
現在、自宅の片付けを家族と一緒に進めています。
その中で、父である会長からもらった手紙が出てきました。
私が中学2年の時に癌がわかり、その治療の中で壮絶な苦しみの中で伝えようとしてくれた手紙です。まさに生死の狭間、手がしびれているのがわかる文字で、死を覚悟した当時の父の思いが綴られていました。
手紙には、
「自分に何かがあったら、お母さん(私の母)を支えてほしい。やらなければならないことに向き合って今をしっかり生きてほしい。」
魂の思いがつまっていました。
私は「一期一会」という言葉を毎日噛みしめています。
病床で父が私宛に書いたその手紙を、今このタイミングで発見し、読み返すことができたことの縁を感じずにいられませんでした。
今自分はどうしたいのか。
その思いに向き合ってこそいかされる。
4月という始まりの季節とも重なって、勇気をもらったように感じています。
今しかない、と思うことで、何かもう少しできるのではないか、何かをしようという後押しになっています。
若い人には、このことに少しでも早く気づいてくれるといいなと願っています。
起きたことの意味
私たちはいかされていく環境で生きていきます。
つまづき、思い通りにならないことも毎日たくさんあるでしょう。しかし、その思い通りにならないことが自分に起きたことの意味はどこにあるのか、と捉えることで前に進むことができるのです。
何か問題が起きたとき、つまづいた時に、
人のせい、環境のせいにしがちです。
しかし、そんな時こそ自分の考えや捉え方で突破できることがあることを知っておいてほしいと思います。
周りのせいにしたところで、何も変わらないことを先に知っておけば、その困難から脱却できることがあります。
自分で自分の人生を創っていると自覚できた方が“自分らしさ”に責任をもって向き合えますよね。
私は今50代半ばであり、自分らしさを今も探求しています。
それが人生なのでは、とも思います。
いろいろな自分がいていい。
決めつけることはない。
特性などに捉われる必要もないと思っています。
何事も自分次第で変わっていけるのです。
仕事に向き合う【目】
手紙ということで、もうひとつご紹介したい手紙があります。
当社を見学された方からいただいたお手紙が私の手元にあります。
現場で働く社員の全員が目の前の仕事に一生懸命向き合う姿が強烈な印象に残っているという内容で、特に仕事に向き合う「目」が自分に響きました、と記されていました。
目の前の仕事に真剣に向き合う働く社員の【目】。
障がいのあるなしにかかわらず、目の前のことに全力で取り組む姿勢は素晴らしいものです。
当社では現場のラインを任される社員は全員、知的に障がいがあります。ただ、障がいがあるなしではなく、大切なのは目の前のことに集中し、真剣に取り組むことだと、彼らからいつも教えてもらいます。
これこそが日本理化学工業の「財産」であり、「原点」であり、未来につなげていかなければいけないことです。
仕事とは、人がつくられていく場所であり、周りの信頼を得られる場所です。働くことで、自分を鍛錬する場所でもあります。
それぞれが自分のことだけでなく、周りの成長を後押しする、という思いで特に若い世代を応援してほしいと思います。
人を応援することでその人のことをより知ることになり、それはひいては自分を知ることにもつながります。
人は人とともにいかされていくのですね。
今回は少し重いトピックになりましたが、4月が始まり緊張感のある新しい環境におられる方、同じ場所でも仕事環境が変わった方に、ご自分の背中を押していただけたらと思い綴ってみました。
今日もお読みいただきありがとうございました。
日本理化学工業
大山隆久
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