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【読書感想文】「家族」研究 人類史-4



新年から、地味に傷付くことが多いです。
昨年はそんなことなかったんですが、後厄の方がキツイのでしょうか

【読書感想文】「家族」研究 人類史-4




頭の良さを表す指標に「IQ」というのがあって、IQの向上のためのナンタラ・メソッドだの似非インテリ論は無限に展開されますが、こちらもエマニュエル・トッドさんの「人類史入門」においてはバッサリと言い捨てられているところがあります。

「知能指数もフランスではたいてい、胡散臭い怪しげな概念だと思われているが、米英では職業的なイデオローグらが人類は知能と能力の差によっていくつかのグループに分離されて当然だという信念を公然と表明した」

メリトクラシー(能力主義)とは?

ある矛盾を孕む。努力して得る知見や能力によって個人は評価されるものなら、「社会保障」や「福祉」とは、なんなのか。保障を受けるに値する個人を選出するものなのか?

話を戻すと、エマニュエルトッドさんの言説では、日本は「直系家族型」の人類集団(=社会)を築いているのに対し、米英は「核家族型」である。日本やドイツなどの直系家族型社会は、知識の世代継承やキャッチアップを得意とするが、硬直しやすく外圧無しではなかなか自己変革できないというデメリットがある。

そして、「自由」という理想について、人間集団(=社会)は個人の意向で選べるものではない。

だから、家族構造は個人やその社会が自由に選び取れるものではないのだ、と。

たとえば、韓国。

1997年の通貨危機以降、IMF主導の構造改革で、自国モデルと異なる米英のアングロサクソンモデルに過剰適応した結果、GDPなど経済統計上は華々しくありながら、日本よりも危機的な出生率低下、急激な人口減少を引き起こしています。

ところで、ちょっと興味深いデータがあります。同じ直系家族型の国家でありながら、高等教育過程修了者率が日本より一回りも低いドイツ。

「ワイマール共和国時代のドイツの知的創造性を記憶している者にとって、にわかに信じ難い状況」

これは、第二次世界大戦時に、自国のエリート層が粛清対象になったことに起因する。日本の軍国主義が似たようなものでも、ドイツほどの切除で停滞を招くほどではなかった、という…。


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