『梅雨』に関する美しい日本語表現 12選(文学作品の参考例)
〈最終更新:2024/07/05〉
今回は、絶賛開催中の『梅雨』に関する日本語表現をご紹介します。
まず、梅雨は一種類ではありません。降る時期によって4つの名称が存在します。
また、梅雨に関する季語も「梅雨」以外に何通りもあります。
実際に文学作品で使われていることも多いため、事前に梅雨についての日本語表現を知っておくと、いざその言葉・状況が舞い込んだ時に実感をもった体験ができることでしょう。何より自分で何かを表現したい時に、これを読んでおけばぴったりな言葉が見つかるようになるはずです。
少しでも皆様の創作活動にも役立てられるよう、梅雨を表現する日本語の使い方や実際に使われている文学作品も記載していくので、ぜひ教材としても使っていただければ幸いです。
梅雨の種類
梅雨 -夏の梅雨
一般的に5~7月に降る梅雨のことを指します。
この時期に北からやってくる冷たく湿った空気(オホーツク海気団)と南からやってくる暖かく湿った空気(小笠原海気団)が北海道を除く日本付近でぶつかることによってできる停滞前線(梅雨前線)によって降る雨のことです。
梅雨は一年のうちに春夏秋冬でおよそ4回訪れます。一般的な梅雨はそのうちの1回でしかないのです。
その他の3回にはそれぞれ別の名前がつけられています。
〈梅雨を題材にした文学作品〉
「梅雨」 横光 利一
「つゆのあとさき」 永井荷風
菜種梅雨‐春の梅雨
3~4月に降る梅雨を菜の花が育つ時期という意味で「菜種梅雨」といいます。※菜の花は主にセイヨウアブラナとセイヨウカラシナを指す。
この時期に発生する前線は梅雨前線と呼ばず、「春雨前線」といいます。
〈同じ意味を表す用語〉
・春霖
・春の長雨
・催花雨
・桜雨
この時期は草木が実や花をつけるため、その地を潤わせる恵みの雨として良いことの兆しや、寂しくも希望を感じるポジティブな意味合いで使われることが多いです。
〈菜種梅雨が登場する文学作品〉 ※類推を含む
すすき梅雨 ‐秋の梅雨
〔秋の季語〕
晩夏から中秋にかけて降る、秋の梅雨をすすき梅雨といいます。
この時期に訪れる前線を「秋雨前線」といい、すすきが見られる季節になぞらえて、この時期の長雨をすすき梅雨と呼ぶようになりました。
〈すすき梅雨を題材にした文学作品〉
山茶花梅雨 ‐冬の梅雨
〔冬の季語〕
晩秋から初冬にかけて降る梅雨を「|山茶花梅雨〈さざんかづゆ〉」といいます。実際に山茶花が咲く時期はもう少し早いのですが、すすき梅雨と区別してこう呼ばれます。
〈題材にした作品〉
なし
梅雨に関する日本語表現
五月雨
梅雨の別称。
青梅雨
梅雨の別称。
青々とした新緑に降り注ぐことでその草葉の青をより美しく映えさせるため、こうした呼び方が生まれた。
五月雨星/梅雨の星
梅雨の間、または梅雨が明けた時期に見える星のこと。
夏の大三角形の一つである「アルクトゥールス(牛飼い座)」の別名。麦星など複数の別名がある。梅雨の星とも。
梅雨の晴れ間
梅雨のあいだ、一時的に雨が弱まる中ほどの期間のこと。必ず起こる訳ではない。じめじめした高い湿度はそのままでありながら、雨が止んで気温が上がることから、耐え難い蒸し暑さになることが多い。
空梅雨《からつゆ》
梅雨時期にも関わらず暖かく晴れた日が続くこと。
走り梅雨
梅雨は決まった日にちに訪れることは少なく、気候や環境の変化によって往々にして前後する。その中で例年より早めに訪れる梅雨を「走り梅雨」という。
送り梅雨
例年より遅く訪れる梅雨のこと。
雷雨を伴った激しい豪雨になることが多い。
「帰り梅雨」「戻り梅雨」とも。