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【読書レビュー⑩】宮部みゆき「理由」
こんばんは。PisMaです。
本日も「理由」を読んでいます。
あと2回くらいで完結しそうなので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
今回読んだのは
15章「帰宅」
16章「不在の人びと」です。
15章「帰宅」は14章「死者と生者」の続き。特別介護施設に向かった砂川里子の描写からはじまります。ニュースを見ていた看護師さんが情報の異様さに気づき、里子に電話をかけるかどうか迷っていたところでした。
偶然かもしれない情報でも連絡をしようとしていたのは、祖母・トメが最近不思議なことを言っていたからでした。
「信夫が夢枕に立つ」。
トメは一日に何度も睡眠やうたた寝を繰り返す生活を送っていますが、眠るたび毎回毎回信夫が出てくる。最近ずっとそんな日々が続いていたようです。
「そんなに何度も出てくるなら近々信夫さんが帰ってくるのかもしれないですよ」と先生が言ってみるものの、「もしや信夫は死んでるんじゃないか」も言い出すトメ。
信夫は肩を落とし、悲しそうな申し訳無さそうな顔でこちらを見ている。それがどうにも良い知らせの顔には見えない、と悩んでいたらあの報道があった。普段なら認知症のおばあちゃんが言うことだと一笑に伏されてしまいそうですが、こんな体験があったあとでは何だか雰囲気が違います。
悩んだ結果、里子は警察署に赴くことに。
里子は警察に殺された人物の本人確認をして欲しいと頼まれます。数年が経っていて体型が変わったこともあり、断言は難しいですが十中八九砂川信夫本人だと結論付けました。
ここでようやく、謎の「荒川の四人殺し」の身元がまた一つわかりました。
16章「不在の人びと」は、今回の事件で惑い踊らされた人びとの顛末。
未だ分からない人の情報を求めるも、正しいのかどうか分からない情報が錯綜します。「あの家族の母と息子は本当の親子じゃない。あの二人らしき人がラブホテルから出てくるところを見た」「石田直澄と二〇二五号室の人は三角関係があった」など、ゴシップじみた噂話も入り混じる情報を集めるうち有力そうな情報も。
事件当初、通報が二通あったことを覚えているでしょうか。これの一通を通報したという人物が登場します。B子さんというその人は、「現場から立ち去る人影、女の人を見かけた」と証言します。前屈みになって何かを抱えるような姿勢で逃げるような人影。この証言で注目される快感の味を覚えたB子さんは虚偽の証言をし、身を滅ぼすことになるのですが…長くなるので割愛。
前の証言(葛西美枝子という人の証言)にも「人が歩いて横切るのを見た」と証言があり、これは同じ人物のことを指していたのだと分かります。嵐の夜に二〇二五号室を訪れ、何かを抱えながら立ち去った人物。
宝井綾子の輪郭を、警察が掴み始めていました。
ついに事件の根幹に関わる人物が視野に入り始めました。父役は砂川信夫、息子役は八代祐司とわかってきましたが、まだ身元が分からない人物もいるのでどうなるか楽しみですね。
今日はここまで。
また読めたら続き書きます。
お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
踊り、惑う、参加したがる一般市民。
おやすみなさい。