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高校2年生、開放病棟入院①
朝、目覚めると景色が違って
"あぁ、入院したんだった"と思った。
今回の入院は開放病棟。
前回に引き続き、病棟内最年少。
前回の入院は個室だったが、今回は4人部屋。
一般の病棟と比べると1人のスペースはかなり広め。
統合失調症のような、おばあさんが2人と
摂食障害と不潔恐怖のお姉さんが1人。
開放病棟なので
1日2回の所在確認時以外は
基本的に建物内は自由に動ける。
外に出るのは敷地内であっても
主治医の許可がある場合のみで
出る時間、戻る時間を
ナースステーションで申告をする。
初日は、検温と朝食を済ませ
病棟内をウロチョロしていると
常にラジカセを持ち歩いている
おじさんに話しかけられて
永遠知らない曲を聞かされ困惑。
困っていると前回の入院で
顔見知りだったお姉さんが助けてくれた。
看護師さんから
外に出れる許可が出ていることを教えてもらい
地図をもらうが、自他共に認める方向音痴で
全く分からず…
丁度、散歩に行くという患者さんに同行した。
"仕事が忙しくて鬱になった"という
その患者さんは優しくて
おっとりした口調で
"娘と同じくらいの年だよ"なんて話しながら
一緒に歩いてくれた。
病棟に戻り、祖母との面会の時間。
荷物を持ってきてもらい、昼食を一緒に食べて
入院に対する親の反応や、他愛のない話をした。
この時、祖母は親のことを
"ちゃんと納得してるから、何も心配いらないよ"
と言っていたが、後から聞いた話だと
本当はかなり不満を漏らしていたらしく
"できるなら治してあげたい"
"少しでも楽にしてあげたい"
"入院費用も自分が支払うから" と
泣きながら説得してくれたとのことだった。
祖母と別れて看護師さんと話したりしながら
特にすることもなく過ごした。
この病棟の看護師さんたちは
閉鎖の時よりも人数が多く年齢層も広かった。
みんな常にバタバタされていて
話しかけづらいなぁと感じたけど
"それでも捕まえて話してね"
なんて言ってくれて安堵した。
病棟の出入りが自由という点以外は
生活面で特に閉鎖の頃と変わりはなく
入院してしばらくは特にすることもなかった。
日記を書いたり、病院内を散策したり
売店のおばちゃんと仲良くなって
お菓子や飲み物をいただいたり
ずっと喋ったりして過ごした。
たまに所在確認の時間を忘れて
病棟から売店に所在確認の内線が入っていた。
外に出るのは申告が面倒であまり出なかった。
というか、
申告せずに外へ出てもバレない
ということに気づいてしまった。
が、結局外へ出ても何もないので院内へいることが多かった。
何十年と入院している人が閉鎖病棟より多くて
本人たち曰く
"帰る場所がないから入院している"とのことで
所謂 "社会的入院" が沢山いることに驚いた。
患者さん達の個性が閉鎖病棟よりもだいぶ強めで
最初こそ困惑することもあったけれど、
基本的にはみんな優しくて親切で
症状が落ち着いていれば、
外の人達より全然穏やかな人達だなと思った。
入院の理由は人それぞれでも、
1度は心を病んで辛い思いをした人達。
みんながみんなそうではないが、
そんな人たちは人の痛みも
よく分かるのかなと考えたりしていた。
つづく