カタチの不思議
「これから先もカタチへの憧れを忘れないように」
これは、はじめて働いた構造設計事務所の就職面接でいただいた言葉です。
構造家としての矜恃をもつ構造設計事務所の代表に対して、ガウディの重力に素直な形態に興味があるという話をした中で返された言葉でした。
当時は 「カタチへの憧れ」 の真意を理解できなかったのですが、その後仕事をしていく中で自分なりの解釈を持ちました。
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カタチって本当に不思議なもので、同じ素材が同じ質量あったとしても、カタチ次第で能力や性格が変わります。
たとえば折り紙でイメージすると分かりやすいのですが、丸めたり山折り谷折りを繰り返したら、ただのペラペラの紙よりも重さに耐えられるようになりますよね。
紙ヒコーキにすれば滑空できます。
何が違うのかと言えば、カタチだけです。
心理的な作用も違います。
カドが尖っているか丸いかで感じ方は違いますよね。
これもカタチの違いで起こることです。
つまり、素質は材質や質量で決まりますが、能力を引き出したり性格づけるのはカタチだということです。
カタチによって受け手の感じ方は全く異なります。
カタチは文章にも現れます。
たとえばフォントを変えると真面目になったり、くだけた感じになったり性格が変わりますが、これもカタチの違いです。
note でのフォント変更方法がわからないので、下の例では文字そのものを変えてみました。
よろしく
ヨロシク
夜露死苦
こんなふうに複数の案があれば好みで選ばれることはありますが、細部でもカタチが違えば別の個性になるので、やっぱりコレだ!! という理由が欲しいものです。
デザインするものとしては常にその選択に対する理由を見出したいです。
構造設計から意匠設計に転向後、今や設計職ですらないですが、今もカタチを選択する場面はあるので度々思い出します。
面接は2005年だったのでもう17年 (2022年現在)、ちゃんと今もカタチへの憧れは失っていません。
「カタチへの憧れを忘れるな」 との金言に、ミースの 「神は細部に宿る」 を重ねて、必然性のあるデザインへの興味は尽きません。
今回は単なる思い出話ですのでショートに終わります。
現在の私の仕事は下記で記した経営企画です。
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