第20回 「日本最高の未来都市!兵庫県の播磨科学公園都市の実情に迫る」
ーーーもしもタイムマシンがあったなら。
あなたは過去に行くか、それとも未来か。犬派猫派の問いに匹敵するほど手垢のついたこの質問。こう聞かれたなら、未来に行きたいと答える人も多いだろう。それだけ人間は、自らの目が黒い内には到底見ることが叶わぬ世界を渇望しているのだ。
未来に飢える者たちが、その渇きを癒せるオアシスが日本には存在する。兵庫県にある播磨科学公園都市だ。
この画像は西播磨テクノポリス計画の拠点都市である播磨科学公園都市のアーバンデザインだ。1997年の"まちびらき"以降、数多くの企業や最先端の研究機関などが続々と進出した。「人と自然と科学が調和する高次元機能都市」をモットーに掲げているため、多くの人が想像する近未来の景色からはかけ離れているかもしれない。
近未来的な都市を思い描いていたSF好きの諸君は少しばかり落胆したかもしれない。しかし、安心してほしい。その建造物群に関してはいわゆる「未来的」なものが多いのだ。それもそのはず、都市内の建築は磯崎新氏・安藤忠雄氏・渡辺真理氏など名だたる建築家、そしてランドスケープアーキテクト(造園家)として高名なピーター・ウォーカー氏らが中心となってデザインしているのである。
(写真: 播磨科学公園都市の建築・設計に関わった名高い建築家・造園家とその建築物)
彼らが作り出した建築物は、まさに「自然と技術の共存」を体現しており、同科学都市が掲げる方針をこれ以上ないほど美しく指し示している。また、播磨科学公園都市は高度技術の集結という点に関しても目を見張るものがある。以下に例を挙げよう。
理化学研究所と高輝度光科学研究センターは、同都市に「SPring-8」と呼ばれる研究施設を建設した。ここでは、放射光という太陽の100億倍の明るさを持つ特殊光を利用して、物質を原子(分子)レベルでその形状や性質を調べることができる。また、都市内では広大な土地を活用した自動運転車の実証運行なども行なわれている。
(写真: 上段は研究施設「Spring-8」、下段は都市内で実証運行されている自動運転車の例)
一見華々しく見える播磨科学公園都市だが、その裏では大きな課題を抱えている。人口問題だ。同都市は科学都市とはいえ、一都市であるから、住人の存在が欠かせない。住宅、学校、商業施設等の"街"としての要素は兼ねているのだが、昼間人口5,000人、夜間人口1,400人と、当初からの目標人口である5,100人(1,800世帯)にはまだ遠い。
(グラフ: 播磨科学公園都市の人口推移)
播磨科学公園都市は日本で最も「未来」に近い場所の一つだ。これから私たちの生活を支えるであろう技術の多くがここで実証され、その有効性が確かめられる。SF的な街に住んでみたい、高度技術を体感したい、住みやすい「自然」を求めている、そんな方々にとって同都市は楽園のような場所かもしれない。ぜひ、一度移住を検討してみてはいかがだろうか。
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参考文献
- 播磨科学公園都市まちびらき20周年記念シンポジウム「わたしたちのまちのこれまでとこれから~より輝くまちに向けて~」, https://web.pref.hyogo.lg.jp/kc12/documents/20thmemorialmagazine_5.pdf
- 兵庫県: 『播磨科学公園都市 アーバンデザイン』, https://web.pref.hyogo.lg.jp/kc12/urbandesign.html