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19歳-希望-
彼との別れをきっかけに拒食嘔吐を繰り返し
体重が30キロ前半くらいまで落ちた。
彼との別れで恋愛に向ける熱は冷めきっていて
私を心配して新しい出会いの場を設けようとしてくれる好意さえ
うざったくて、
「早く忘れて次の恋に進みなよ」なんて言葉も聞きたくなかった。
私はどんどん周りとの距離を置くようになった。
毎日に希望も楽しみもなく、落ちることも上がることもない
ただ淡々と過ごしていた時、
縁があり保育園の保育補助として働けるチャンスが巡ってきた。
ネイルも厚化粧も落として素の自分でいられる気がした。
全てが優しさに包まれていて暖かく居心地がよかった。
やっと少しちゃんとした道が歩けている気もした。
栄養のある食事、規則正しい生活。
なによりも心の癒しで拒食嘔吐も落ち着いた。
しかしそれだけで生活していくのは難しかった。
平日は8:00-17:00まで仕事をして
週末は21:00-5:00まで夜職へ行くハードな生活を繰り返すようになった
肉体的には辛かったけど、それでも昼職は手放したくないと思った。
少しずつ、自分を取り戻してきた頃だった。
長いこと連絡をとっていなかった親友から連絡があった
「彼が連絡とりたがってて連絡先教えてもいい?」と。
絶対にダメだとわかっていた。けど会いたい話したい。
自分の中のブレーキが外れそうだった。
「あれだけのことがあってだいぶ変わったみたいだし
あのプライドの高い男が私にわざわざ連絡してくるなんて
相当だと思うよ。時効じゃない?」
その言葉に「わかった」と言ってしまった。
連絡先教えておくねと言われてから
いつ電話が来るかドキドキしていた。
やっぱり好きなんだって改めて感じた。
でもあれだけの事を起こして、元に戻るなんてことはない。
電話だけ。声だけ。元気かどうかそれだけでいい。
理性と本能ってこういうことだと思う。
まるで自分の中にもうひとり自分がいるようで
なにをしていても考えてしまう。
これが本気で好きになるということならば
後にも先にも私の人生でこれ以上人を好きになることは
ないと思う。