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「赤いリボン。」/ショートストーリー

今日は2月14日。

バレンタインの日。日本では女子が男子にチョコをあげる日。

私は本命しか渡さない。

義理ってなに。義理でもらったひとも大変だろうなと思う。

私は誰がなんといようと好きなひとだけにあげる。

でも。手作りのチョコとかバレンタイン用のチョコは。

ちょっと自分の気持ちが重い。

なんか、気持ちを押しつけているようで。

まだ、恋人の関係でもないのに。

今はただの会社の同僚でしかないのに。

だから。

いつも私が食べているアーモンド入りのチョコにした。

そのかわり。ラッピングは自分ですることにした。

私の趣味がラッピングだもの。

深みのある赤のリボンが私の目を引いた。

これしかない。

ラッピング用の素材とか凝りだしたらキリがないし。

金額だってチョコより高いかも。

でも。いいの。

自分の気持ちを伝えるための。

大事なチョコのリボンだから。


「急に。ごめんなさい。子供ぽっいですよね。」

「ありがとう。ところでこれは義理ですか。それとも。。。」

「私。あなたが好きなんです。」

「気が合いますね。僕もあなたが好きです。」

ラッピングの赤いリボンがするするとほどけると。

私と彼の小指を結んでハートの形をなした。

「えっ。これってなにかマジックですか。」

彼は驚いていたけど、何か仕掛けがあると思ったらしい。

嬉しそうに笑って、そのまま手を繋いでくれて。

アーモンド入りのチョコが一番好きだって教えてくれた。

ところで。

実は私だって本当は驚いていたのだ。

相手が誠実な好意をもっていてくれたら。

リボンが教えてくれると言っていたけれど。

やっぱり。『なんでも屋』のリボンはすごい。



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