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売切型からサブスク型へ、あるギター会社の大変身

建設王子の工事(こうじ)です!

今日の記事のゴールは、「サブスク会社の会話についていく3つの方法を理解する」です。

【この記事を読むと得られる3つの要点】

1.意外な企業がサブスク型になることで大きく業績をのばした理由
2.世間でサブスクという考え方が話題に登っている理由
3.なぜ今後、今の自分の仕事とも関係するのか

出典:Photo by Austin Distel on Unsplash

背景

サブスクリプション型会社とは何なのか、については以下の本がおすすめです。

サブスクとは、単なる月額課金ではない

「サブスク型の会社」とは、「製品を売って月額課金をする会社」ではなく、「製品中心の仕組みを止め、お客様を中心に考えて作られた仕組み」です。

この根本の考え方を把握した上で、より分解して説明します。サブスク型の会社の特徴は以下の3つです。

◆1「製品を売るのではなく、お客様が必要なサービスを売る」

◆2「製品の情報ではなく、お客様の情報をもっている」

◆3「お客様との関係について、製品を売って終わりではなく、売ってからが始まりである」


製品を売るのではなく、お客様が必要なサービスを売る

ここで一つの具体例をご紹介したいと思います。

ギターを製造・販売している「フェンダー(Fender)」という会社についての事例です。

出典:フェンダー

ギターは、楽器の中でも、とくに習得が難しい楽器の一つです。ギターを買った初心者の10名の内9名が、1年以内に使うことをやめてしまう、とも言われています。
出典:『サブスクリプションー「顧客の成功」が生む新時代のビジネスモデル』

ですが、逆にその習得という高いハードルを超えてしまえば、その方は一生ギターを弾くユーザーとなります。(そして、フェンダーからギターを買う、潜在顧客になる可能性がある、ということでもあります。)

フェンダーは、元々、従来からの考え方=自分たちは「ギターを作って売る会社」だ、と考えていました。そのため、
●どうやって良いギターを安く作るか
●どうやってギターのデザインを変更するか
●どうやって広告費をかけて販売促進をするか
など「製品」をどうするか、ということが議論の中心でした。(そしてそのろのフェンダーの売り上げは低迷していました。)

ここでの考え方の問題点は、「お客様」に関する視点がないことです。

実は、お客様は、もっと違うものを欲しがっていました。お客様が一番欲しかったのは、ギター本体でもなく、かっこいい広告でもなく、「ギターを上手く演奏できる自分」だったのです。

そのゴールのためには、以下のようなものが必要でした。
●「ギター初心者がつまづきそうな部分が簡単に乗り越えられる教育ビデオ」
●「ギターのチューニングが簡単にできるアプリ」
●「ギターが演奏しやすいように、指で押さえる形が表示される楽譜」

フェンダーは、お客様が求めていたこれらの機能を開発し、サブスクリプションの形で提供しました。
フェンダーは、始めからギターを売ろうとはしませんでした。
フェンダーが売りたいギターという製品をから起点に考えることを止め、お客様が求めるサービスは一体何であろう、ということを中心に据えて、再考したのです。

その結果、魅力的なサービスである「Fender Play(オンラインギター学習サイト)」や「Tuner App(チューニング用アプリ)」が生まれ、フェンダーのギターを購入した人は、それらも併せて利用するようになりました。

https://www.fender.com/play

それにより、初心者がギター演奏をやめてしまう割合を減らすことができれば、将来的にわたって売れるギターの本数も増えます。まさにWin-Winの関係を築くことに成功したのです。

製品の情報ではなく、お客様の情報をもっている

そして、これらのデジタルサービスがもたらした効果は、それだけにとどまりませんでした。

いままで、ギターなど製品を販売するメーカーは、いったいどこの誰が製品を買って、それをどう使っているのか、全くわからないままビジネスを行っていました。

なぜなら、そのような情報を一人一人集めることをせずとも、製品は売れていましたし、そんなことをすることは手間を考えると現実的には無理だったからです。

ですが、インターネットとスマートフォンが全てを変えました。

上でご紹介した「Fender Play」「Tuner App」というサービス(アプリ)によって、ギターを持つお客様が、何に一番困っていて、どこでつまずいて、どんなコンテンツやツールを望んでいるのか、そのようなことが全て分かる行動履歴を手に入れることができたのです。

そして、これらのデータにより、お客様の傾向が分かるだけではなく、お客様一人一人の行動がそれぞれ分かります。それはすなはち、初めて企業がお客様一人一人の姿を認識し始めた、ということです。

出典:Photo by Guilherme Stecanella on Unsplash

お客様との関係は、製品を売ってから始まる

フェンダーの以前のビジネスは、端的に言うと「お客様にギターを売り、あとはやめないでほしいと祈るだけ」というものでした。

ですが、上記の魅力的なサービスを追加することで、お客様と(サービスの絶え間ざる改善という形の)対話を継続的に行うことができるようになりました。

フェンダーは、お客さまを「ギターを演奏するアーティスト」であり「一生お付き合いをしていく音楽愛好家」として認識するようになったのです。これは、会社の考え方と、それを実現するITの仕組みが2つあってこそ、実現した変化です。

製品中心から、お客様中心へ

この「製品中心」の考え方から「お客様中心」の考え方への変化は、ギター会社の例からもわかる通り、IT業界に限らずあらゆる業界で起こります。

なぜなら、自社がやらずとも、同業他社が必ず魅力的なサービスを提供するからです。
お客様にとっては、もっともっと魅力あふれる選択肢が増えていく、という状態になりました。

それらを提供する側である企業も、目先の売り上げではなく、真の意味でお客様が必要としていることを提供していかなければいけない時代に変化しています。

この大きな流れを皆様の仕事に落とし込まれた際、どんな新しいアイデアが生まれてくるのか、わくわくしますね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう!

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