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たとえ茨の道だとしても歩む人

たとえそこが茨の道
だとしても
歩く人が居る
そこしか歩くところが無いから
歩く人が居る

それは
とても勇気がいる事でもなく
歩かざるおえないから……
戻ることも許されず
ただただ歩く

それが許されぬ道
だとしても
批判される道
だとしても

歩く人が居る

『ハンチバック』
市川沙央(著)

ミオチュブラー・ミオパチー
を患い、
右肺を押しつぶすかたちで
背骨が極度に湾曲している女性、
井沢釈華が語り手です。
釈華は喉の真ん中に穴を開けて
仰臥時には人工呼吸器
を必要としながら、
両親が遺したグループホームで
毎日を生きていました。

しかしあるとき、
通信制の大学に通いながら
ライティングで
小銭を稼ぐ
変わり映えのない毎日に、
大きな事件が訪れます。
病院に勤めている
ヘルパーの田中が、
健常者になれない絶望を
日々呟いている
釈華の裏アカウント
を見せつけてきたのです。

「普通の人間の女のように
子どもを宿して中絶するのが
私の夢です」。

田中は妊娠と中絶
を叶えてあげようと、
脅迫に近い形で釈華に
現金の取引を持ち掛けます。
それは釈華にとって、
重度障害者の自らが
人間として
認められるかの尊厳を賭けた、
重大な取引でもありました。

重度障害を抱えている
釈華にとって、
生きるために必要なものが
揃っている施設は
もはや小さな社会も同然です。
自分の力で歩けず、
言葉を喋るのにも
一苦労する以上、
健常者が生活しているような
社会からは完全に
遮断されてしまっています。
……………

『ハンチバック』
市川沙央(著)
treeより

いま自分が立っているこの現実を、
ふと辛く感じてしまうときは
ありませんか?

そんなとき、
私たちはどう現実の辛さ
を乗り越えていけば
よいのでしょう。
力をつけたり我慢したり、
知恵を振り絞って辛さを
突破したり、
解決策を編み出していくことは
人生で多々あるはずです。

一方、現実の辛さから
逃れるために
想像のなかや夢の世界で
「もうひとりの自分」
をつくりだし、
彼/彼女の活躍に想い
を巡らせることで、
辛さから解き放たれようと
したひとも
いるのではないでしょうか。

それはともすれば、
所詮は妄想だと鼻で笑われたり、
もっと現実を見たほうが
いいと言われてしまうこと
なのかもしれません。

でも、ほんとうに
妄想だと切り捨ててしまって
いいものなのでしょうか?

もうひとりの自分とどう向き合う? 
本物と偽物の間に聳える壁と人間としての在り方
treeより

先日の
第128回文學界新人賞の受賞作
『ハンチバック』

健康な身体がどれだけ
尊いものなのかと言うことを
改めて実感させられ

障害を持って生まれて
きてしまった人は
健常な身体をどれだけ
羨んでいるか
思い知らされました

私がもし障害を持って
生まれてきていたなら
そう言う感情を
捨てているだろうなぁ
もはや生きる意味
なんて考えず
ただただ息をする毎日を
過ごしているかもしれない

………………
自己紹介
noteがスキ❤️になってきた。より

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