『読まずに死ねない哲学名著50冊』
『読まずに死ねない哲学名著50冊』を読んだので、その記録です。以下の文章は私の目というフィルターを通して出てきたものです。あしからず。
筆者:平原 卓(早稲田大学文学研究科で修士課程を修了 webサイト 「Philosophy Guides」を開設。)
フォレスト出版株式会社
introduction
哲学の”て”の字も知らない...
そう思ったので、一般書で網羅性の高そうなものをセレクト。
about
古代ギリシアの哲学から、現代哲学まで50冊の名著の概要が筆者の言葉で記されている。それぞれの本が10ページに満たないほど簡潔にまとめられているので、哲学を学問として全くの未修でも読んで楽しむことができる本であると思った。
全体は5部に分かれており、
第一部...古代ギリシア
第二部...中世
第三部...近代
第四部...現代1
第五部...現代2
となっている。
それぞれの部で代表的な人と作品を挙げておく。
一部は主にプラトンとアリストテレスの著書がまとめられており、主に言葉を定義することから論理が展開されていく。形而上学とは何か、恋の本質はどこにあるかなど、誰もが一度は考えたことのあるような内容を古代ギリシアの哲学者はどのように説明したかということが書かれている。また、この時代には、神というものが現世とは別に絶対的なものとして機能しており、そこも現代との対比として考察しやすい部分であった。
二部は、アウグスティヌスや『神学大全』でおなじみのトマス・アクィナスの言葉がまとめられている。ここでは、神とはそもそもどこに存在するのか、どのように認識されるのか、ということなど、宗教や神というものはそもそもどのような存在であるかということに言及している。神の存在を捉え直すことによって、論理を展開しているといえよう。
三部はデカルト、ホッブズ、ルソー、カント、ヘーゲル、キルケゴールにミルと言った一度は名前を聞いたことがあるような著名人の書物がまとめられている。世界史の授業などで、その名前と著書くらいは覚えさせられたが、内容までは深く知らないものが多かったので、その概要を聞いて原著にあたってみようかというようなものもあった。内容は多岐にわたっていて、一言でまとめるのは難しいが、様々なトピックについて、この言葉、現象の本質は何なのだろうかということに対するそれぞれの筆者の見解がまとめられている。
四部では現代哲学に入る。主にニーチェからハイデガーの頃の著書がまとめられている。この部の内容や考え方などは、一般の現代文にも踏襲されているものが多く、受け入れやすいものが多かった。一度は読みたいと憧れるフッサールの『現象学の理念』やハイデガーの『存在と時間』などがまとめられている。原著は難しくて読むのを断念した人でも、知識として、それぞれの内容を押さえることができるだろう。
五部ではメルロ=ポンティからデリダまでがまとめられている。ここでは、今現在に直接繋がるような認知、行動学のようなことから、現象学、社会学(革命についてなど)に至るまで、端的にまとめられている。哲学だけにとどまらず、他の学問に派生するような内容も多く、読んでいて楽しかった。
result&discussion
この本は、哲学を歴史的に大まかに追っていってくれることで、どの時代にどのような社会情勢の中、どういった考えが生まれたのかということを俯瞰することができる良書であった。
読むことで、知識が増えるのはもちろんのこと、一つ一つ、自分に取ってはどのような意味を持つのか、どのように解釈することで生かしていけるのかなど、思案することができ、ゆっくり読んで楽しむことが出来た。
一度読んだだけでは、知識も定着せず勿体無いので、二度目三度目を読み、そうすることでまた一度目からは変わった感想を持つこともできるのだろう。
哲学の歴史に少しでも触れることができたこの機会に感謝し、より学びを深めていくことができればと思う。
最後に、この本の中の一節を。
”教養は、共同体における「よさ」が多様なものであることを教える”byヘーゲル
他人が大切に思っていることを理解できるように、これからも教養を深めていきたいものである。
では、また次の機会に。