『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 02'
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
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このお話は、こちらの続きです。
第二話『白雪姫の遺言』After Story
老紳士は家路に着いた。
「おかえり父さん。箱は開いた?」
老紳士は、帽子を取り、ジャケットをハンガーにかけ、椅子に座った。
「開いたよ。有能な鍵屋さんでねえ。なんでも、中身は有名な学者の論文の下書きらしい。アラン・チューリングって知ってるか?」
息子は、キッチンにたったまま返事をした。右手には、小さな小瓶を隠し持っていた。
「知らないなあ。きっと偉大な人だったんだろうね。...そういえば、リンゴが送られてきてるけど、食べる?」
「ああ。じゃあ、せっかくだし頂こうかな。」
「はい、どうぞ。」
小さく切られたリンゴを齧った老紳士は、次の瞬間、苦しそうに首元を引っ掻きながら息絶えた。
「はい。俺です。こちら完了しました。アラン・チューリングの直筆の原稿だそうで。...きっと数億はくだらないでしょうね。
......はい。わかりました。すぐ向かいます。」
息子は、箱を手に取り、先ほどまで老紳士の被っていた帽子を被り、家を出た。
”魔法の秘薬にりんごを漬けよう、 永遠の眠りがしみ込むように” by Alan Turing
第二話 終
※フィクションです
では、また次の機会に。
参考にした文献は以下
"THE CHEMICAL BASIS OF MORPHOGENESIS" (A.M. Turing, 1952,Biological Science)