長唄 惜しむ春
季節の移り変わりって、なんだか少し寂しい気分になることありませんか🥹春は特に名残惜しい…
あらすじ
1919年に作曲された比較的新しい曲です。
花の散る野辺を背景に、やるせない恋心や千々に乱れる乙女の感傷を、暮れゆく春を惜しむ物憂い哀愁と共に表現しています。
華やかさの中の哀愁
春は心浮き立つ季節でもあり、別れを彷彿とさせる物哀しい季節でもあります。
そんな変わり目の憂いのある季節がしっとりと表現された詩情が美しい作品です。
どの世代でも経験したことがあるのでないでしょうか🤭
印象的な歌詞
歌詞がとても美しく、「逝く春」の情景が目に浮かんでくるようです。
〽︎春やいくとせ 惜しまるる 身にふさはしき振りの袖 つつむにあまるいろくさや
〽︎うつつなき桜の色に戯れて 東風(こち)は心に流れ来る 空さへ夢の銀砂子 燃ゆるおもひを陽炎(かげろう)に たゆたひよればいつしかに とけて吹かかる緋鹿の子の 手絡に顔も染模様 丘の若草もつれて匂ふ 霞のおくの揚雲雀
〽︎一つ姫松 二人が命 都恋しやあの山憎くや 君が恋しや都の空は 涙つづれの花ぐもり
〽︎ぬれてよいよい こひ春雨に ぬれりや色ます糸柳 〽︎聞いたかえ 〽︎ほんに やるせがないわいな
〽︎歎くわれかな はらはらと 散りゆく花に暮れそめて いづくへ帰るかりぞねぞ 帰りはぐれて身を残す あはれ供養の細けむり たなびきわたる静寂さ(しずけさ)を 身にしみじみと入相の 鐘を数へて恨むなり 〽︎忍べばまして偲ばるる そのあしどりの浅みどり
〽︎春や まぼろし まぼろしの 春の調べを君に贈らん
日本舞踊とダンスの決定的な違いは、こういった情景描写や、登場人物の気持ちをいかに表現するかであると筆者は常々伝えています😊
ふとした表情、目線、手のやりよう、間合い…
すごく素敵な事だと思っています。
立方(たちかた)
藤原なつ美(ふじわら なつみ)
藤間華酔先生に師事。過ぎ行く春を目に浮かべながら踊りたいです。よろしくお願いいたします。